2024年に扶養控除は廃止される？

2024年、日本の税制改正において大きな注目を集めているのが、扶養控除の見直しです。巷では「廃止」というセンセーショナルな言葉が飛び交っていますが、現時点での政府の方針は「廃止」ではなく「縮小」です。しかし、この「縮小」が、多くの家庭、特に共働き世帯や、高齢の親を扶養する世帯に、少なからず影響を与えることは間違いありません。本稿では、正確な情報に基づいて、2024年の扶養控除の現状と、その変更が及ぼす影響について考察します。

まず、誤解を解くために断言しておきましょう。「2024年に扶養控除が完全に廃止される」という情報は、少なくとも現時点では不正確です。政府は、社会構造の変化や少子高齢化への対応として、税制改革を進めており、その一環として扶養控除の見直しが行われているのは事実です。しかし、その内容は「廃止」ではなく、控除額の縮小という形を取ることが濃厚です。

報道されている内容によると、主に16歳から18歳までの扶養親族に対する所得税と住民税の控除額が削減される見込みです。具体的には、所得税における控除額が38万円から25万円へ、住民税における控除額が33万円から12万円へ減少する案が有力視されています。この変更は、これまで比較的大きな控除額を受けていた世帯にとって、税負担の増加を意味します。

この控除額の縮小が、家計にどのような影響を与えるのでしょうか。例えば、高校生の子供を扶養している世帯の場合、これまで受けられていた控除額が減少することで、年間数万円から十数万円の税負担増となる可能性があります。これは、世帯収入やその他の税控除の状況によって大きく変動しますが、特に収入が低い世帯や、複数の子供を扶養している世帯にとっては、無視できない負担となるでしょう。

また、この変更は、単に税負担の増加というだけでなく、働く女性のキャリア形成にも影響を与える可能性があります。これまで、扶養控除を受けるためにパートタイムで働くことを選択していた女性が、控除額の減少によって、フルタイム勤務への転換を検討せざるを得なくなるかもしれません。逆に、フルタイム勤務を維持しながら子供を育てる世帯にとっては、保育費用などの増加と相まって、より経済的な負担が増加する可能性があります。

さらに、高齢の親を扶養している世帯も影響を受けます。高齢者の介護費用は高額になる傾向があり、その費用の一部を扶養控除によって軽減していた世帯にとっては、控除額の縮小は大きな打撃となります。

政府は、この税制改正によって得られた財源を、子育て支援や高齢者介護の充実などに充てることを表明しています。しかし、税負担が増加する世帯にとっては、その効果を実感できるまでには、ある程度の時間が必要となるでしょう。

結論として、2024年の税制改正において、扶養控除は廃止されるのではなく、縮小される方向で検討が進められています。この変更は、多くの世帯に少なからず影響を与え、家計の見直しや生活設計の見直しを迫られる可能性があります。正確な情報を把握し、自分自身の状況を踏まえて、今後の対策を検討することが重要です。常に最新の情報を追いかけ、税制改正に関する政府発表などを注視することが不可欠と言えるでしょう。