EUに輸出するとき、付加価値税はいくらですか？

EUへの輸出、付加価値税（VAT）の落とし穴と対策：知っておくべきこと

EUへの輸出を検討している日本の事業者にとって、付加価値税（VAT）は複雑で理解しにくい税制の一つです。冒頭で「EUへの輸出時には、付加価値税（VAT）はかかりません」と述べられていますが、これはあくまで原則であり、例外や注意すべき点が数多く存在します。安易に免税と捉えて進めてしまうと、思わぬ税務上のトラブルに巻き込まれる可能性があります。

原則：ゼロレートの適用

確かに、EU域外（日本を含む）からEU域内への輸出に関しては、VATは課税されません。これは「ゼロレート」と呼ばれる措置が適用されるためです。ゼロレートは、輸出される商品やサービスに対してVATを課税しないことで、国際競争力を高めることを目的としています。

しかし、落とし穴は存在する

ゼロレートが適用されるためには、いくつかの条件を満たす必要があります。例えば、以下のようなケースではVATが発生する可能性があります。

• EU域内に倉庫を保有する場合: EU域内に倉庫を持ち、そこから商品を出荷する場合、倉庫のある国のVAT登録が必要になる場合があります。
• EU域内の顧客に直接販売する場合: EU域内の個人消費者に対してオンライン販売を行う場合、その販売額が各国の規定額を超えると、VAT登録とVATの申告・納付が必要になります。（これは遠隔販売に関するVATルールと呼ばれるものです。）
• EU域内で提供されるサービス: 商品の輸出だけでなく、EU域内で提供されるサービス（例えば、コンサルティング、技術サポートなど）には、VATが課税される場合があります。サービスの種類や提供場所によって、VATの取扱いは異なります。
• 委託販売: EU域内の販売代理店を通じて販売する場合、販売代理店がVAT登録を行っている必要があります。また、委託販売の形態によっては、日本側の事業者がVAT登録を求められる可能性もあります。

VAT登録の必要性：慎重な判断を

VAT登録が必要かどうかは、事業の規模、販売方法、商品の種類、そして各国のVAT法によって異なります。VAT登録が必要であるにも関わらず登録を怠ると、罰金が科せられる可能性があります。

対策：専門家への相談が不可欠

EUへの輸出を行う際には、事前に専門家（税理士、VATコンサルタントなど）に相談することを強くお勧めします。専門家は、貴社のビジネスモデルや販売方法を詳細に分析し、VATに関するリスクを評価し、最適な対策を提案してくれます。

具体的には、以下の点について相談することをお勧めします。

• VAT登録の必要性: 貴社のビジネスモデルでVAT登録が必要かどうかを判断してもらう。
• VAT還付の可能性: EUで購入した商品やサービスにかかるVATの還付申請の手続きについてアドバイスを受ける。
• インボイスの作成方法: VATに関する適切なインボイスの作成方法について指導を受ける。
• VAT申告・納付の手続き: VAT申告・納付の手続きについてサポートを受ける。

まとめ

EUへの輸出におけるVATは、一見すると単純に見えますが、実際には多くの落とし穴が存在します。安易な判断は避け、専門家の助けを借りながら、VATに関するリスクを適切に管理し、スムーズな輸出ビジネスを実現しましょう。