「バタ角」とはどういう意味ですか?

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建築用語で、コンクリートを流す型枠を補強する際に使用される、10cm角程度の角材のこと。建設現場では、10cm角程度のパイプで代用される場合が多い。

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バタ角:建築現場の縁の下の力持ち

建築現場で飛び交う専門用語。耳慣れない言葉も多い中、「バタ角」という言葉を聞いたことはありますか?一見すると何のことか想像もつかないこの言葉、実はコンクリート構造物を作る上で重要な役割を担う縁の下の力持ち的存在なのです。

バタ角とは、コンクリートを流し込む型枠(一般的には木製合板で組まれる)を補強するために用いる、10cm角程度の角材のことです。正式名称は「型枠支保工控材」と呼ばれ、コンクリートの圧力に耐え、型枠が変形したり崩れたりするのを防ぎます。

なぜ「バタ」と呼ぶのか、その由来は諸説ありますが、有力な説としては、型枠を支える様子が、歌舞伎役者が舞台袖から勢いよく飛び出してくる「花道からの出」に似ているから、というものです。勢いよく飛び出す様子を「バタバタ」と擬音で表現し、それが略されて「バタ」になったと言われています。また、型枠を支える際にバタ角を複数並べて使用する様子が、蝶々が羽を広げているように見えることから、「蝶(バタフライ)」から来ているという説もあります。

現場では、10cm角の角材以外にも、10cm角程度のパイプ(単管パイプなど)を代用することも多く、厳密に木材でなければならないというわけではありません。しかし、木材のバタ角は、加工のしやすさ、入手しやすさ、コストパフォーマンスの良さなどから、今でも多くの現場で愛用されています。

バタ角の役割は、コンクリート打設時の型枠の変形防止だけにとどまりません。型枠の精度を保つことで、コンクリート構造物の仕上がりの精度にも大きく影響します。壁や柱、梁などの寸法が設計通りに仕上がらなければ、建物の強度や美観に問題が生じる可能性があります。バタ角は、正確な施工を実現するための重要な要素と言えるでしょう。

さらに、バタ角は作業員の安全確保にも貢献しています。コンクリート打設中は、型枠に大きな圧力がかかります。もし型枠が崩壊すれば、作業員に重大な事故を引き起こす危険性があります。バタ角は、型枠をしっかりと支え、安全な作業環境を確保する役割も担っているのです。

近年では、プレキャストコンクリート工法の普及や、システム型枠の導入などにより、従来のような木材による型枠工事は減少傾向にあります。しかし、複雑な形状の構造物や、小規模な工事現場では、今でもバタ角を使った型枠工事が行われています。そして、熟練した職人たちは、長年の経験と知識を活かし、バタ角を巧みに使いこなし、高品質なコンクリート構造物を作り続けています。

一見地味な存在であるバタ角ですが、その役割は建築現場において非常に重要です。建物の強度、美観、そして作業員の安全を支える、まさに縁の下の力持ちと言えるでしょう。今度建築現場を見かけることがあれば、「バタ角」の存在を思い出してみてください。きっと、これまでとは違った視点で建築物を見ることができるはずです。