「通り」の読み方は「とおり」と「どおり」のどちらが正しい?

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「通り」の読み方として「とおり」と「どおり」が考えられますが、正しいのは「とおり」です。特に公文書などでは「○○のとおり」と表記する際、「とおり」をひらがなで記述するのが慣例です。「このとおり」「以前の打ち合わせどおり」といった用例がそれを示しています。 「どおり」は口語的な表現として使われる場合もあります。

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「通り」の読み方、「とおり」と「どおり」、どちらが正しいのか? この一見単純な疑問は、日本語学習者のみならず、母語話者にとっても意外なほど奥深いものです。結論から言うと、厳密には「とおり」が標準語であり、より正確な読み方と言えます。しかし、「どおり」も広く使われており、その使用状況や文脈によっては全く問題のない表現と言えるでしょう。この違いはどこから生まれるのか、詳しく見ていきましょう。

まず、「とおり」は、漢語の「通り」の音読みである「ツウリ」が変化したものです。この音読みは、古くから文書や公的な場面で使われており、現在でも法律や公文書、正式な文書などでは「とおり」が推奨されています。例えば、「上記の通りの内容で」や「指示の通りに作業を行う」といった文脈では、「とおり」を用いることが一般的です。特に、「~の通り」という形で用いられる場合、「とおり」はほぼ絶対的な表記と言えるでしょう。 これは、ひらがなで表記することで、より謙虚で丁寧な印象を与えるためでもあります。漢字の「通り」を用いる場合も、文脈によっては「とおり」とルビを振ることがあります。

一方、「どおり」は、「とおり」のくだけた言い方、口語的な表現と言えます。日常会話では「どおり」を使う方が自然に聞こえるケースも多く、特に若い世代の間では「どおり」の方が一般的かもしれません。例えば、「予定どおりに終わった」「思ったどおりだった」といった表現は、親しみやすさや自然さを重視する口語的な場面で頻繁に用いられます。「とおり」を使うと、やや硬く、堅苦しく聞こえることもあるでしょう。

では、いつ「とおり」、いつ「どおり」を使えば良いのでしょうか? 明確なルールがあるわけではありませんが、以下の点を参考にすると良いでしょう。

  • 公文書、正式な文書、報告書など: 断然「とおり」です。間違いなく「とおり」を用いましょう。曖昧さを許容しない場面では、標準語である「とおり」を使用することが重要です。

  • 日常会話、親しい友人との会話など: 「どおり」でも「とおり」でも、どちらを使っても問題ありません。文脈や話し相手に合わせて、自然に聞こえる方を選びましょう。「どおり」の方がよりくだけた、親しみやすい印象を与えます。

  • 書面でのカジュアルな文章(メールなど): 状況によりますが、「どおり」でも構いません。ただし、相手との関係性や文章のトーンを考慮する必要があります。ビジネスメールなど、ある程度のフォーマルさを求められる場合は「とおり」を使用するのが無難です。

結論として、「通り」の正しい読み方は「とおり」ですが、「どおり」も広く受け入れられている口語表現です。状況に応じて使い分けることが、より自然で適切な日本語表現につながります。 大切なのは、どちらの読み方を使うべきかではなく、文脈を理解し、その場面にふさわしい表現を選択することです。 「とおり」と「どおり」の使い分けを意識することで、より洗練された日本語を操ることができるでしょう。