エンジンをつけたまま給油するとどうなる?

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エンジンの作動中に給油を行うことは、危険物規制に関する政令に違反します。これはガソリン車だけでなく、軽油を使用するトラックにも適用されます。消防法においてガソリン、軽油、灯油は危険物として扱われており、エンジンをかけた状態での給油は極めて危険な行為です。

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エンジンをかけたまま給油するとどうなる?~想像以上の危険性と法的リスク~

ガソリンスタンドでよく見かける光景ですが、「エンジンをかけたまま給油」は、決して軽視できない危険行為です。一見すると些細な行為に見えるかもしれませんが、その裏には想像をはるかに超える危険性と、法的リスクが潜んでいます。本稿では、その具体的な危険性と、なぜエンジンを停止して給油すべきなのかを詳しく解説します。

まず、最も大きな危険性は、静電気の発生です。ガソリンや軽油は揮発性が高く、給油ホースやノズル、そして車両自体に静電気が蓄積されやすい性質を持っています。エンジンをかけた状態では、燃料ポンプやその他の電気系統からさらに静電気が発生し、その蓄積量は飛躍的に増加します。この静電気が、空気中の可燃性ガスと接触することで、瞬時に引火・爆発を引き起こす可能性があるのです。

静電気が発生するメカニズムは複雑ですが、簡単に説明すると、燃料の流動や車両の走行、エンジン稼働に伴う摩擦によって電荷が分離し、静電気が発生します。この静電気が、空気中の可燃性ガスと接地する際に放電し、スパークが生じます。このスパークのエネルギーは小さくても、可燃性ガスが濃縮されている状況下では、容易に引火・爆発を引き起こすに十分なエネルギーとなります。

さらに、エンジンをかけたまま給油を行うと、排気ガスによる危険性も高まります。排気ガスには一酸化炭素などの有害な物質が含まれており、給油口付近に滞留することで、作業員や給油者自身の健康に悪影響を及ぼします。特に、密閉された空間での給油や、風通しの悪い場所では、一酸化炭素中毒のリスクが著しく高まります。

また、エンジンをかけたままの給油は、消防法に抵触する可能性があります。消防法では、ガソリンや軽油などの危険物を扱う際には、安全管理に関する厳格な規定が設けられており、エンジンをかけた状態での給油は、これらの規定に違反する行為とみなされます。違反した場合には、罰則が科せられる可能性があります。

「少しの時間だから大丈夫」という安易な考えは、重大な事故につながる可能性を秘めています。一瞬の油断が、取り返しのつかない事態を招くことを忘れてはなりません。

最後に、安全な給油のためには、以下の点を厳守しましょう。

  • 必ずエンジンを停止する: これは、最も基本かつ重要なことです。
  • 携帯電話の使用を控える: 携帯電話の操作も静電気の発生源となります。
  • 給油口付近での喫煙を禁止する: 火気厳禁です。
  • 給油作業中は車両から離れない: 万が一の事態に備えます。
  • 給油後、ノズルを確実に収納する: 燃料の飛散を防ぎます。

エンジンをかけたままの給油は、決して取るに足らない行為ではありません。自身の安全と、周囲の安全を守るためにも、必ずエンジンを停止してから給油を行うよう心がけましょう。 小さな配慮が、大きな事故を防ぐことに繋がるのです。