会社のものを勝手に捨てたらどうなるの？

会社のものを勝手に捨てたらどうなるの？一見些細な行為に見えるかもしれませんが、会社所有物の無断廃棄は、思わぬ法的・経済的リスクを招く深刻な問題です。 単なる「片付け」のつもりでも、結果として会社に多大な損害を与え、自身も法的責任を問われる可能性があるのです。 この記事では、会社所有物を無断で廃棄した場合に発生する可能性のある問題を、具体例を交えながら解説します。

まず、最も重要なのは、会社所有物の所有権は会社にあるという点です。 デスクの上のペン一本、古くなったパソコン、使い古しの書類、一見不要に見える備品であっても、それはあくまで会社の財産です。 これを勝手に処分することは、会社の財産を不正に処分する行為にあたり、刑事責任を問われる可能性があります。 具体的には、窃盗罪や横領罪の適用が考えられます。

窃盗罪とは、他人の物を窃取したことを罪とする犯罪です。 「捨てた」という行為は、一見すると窃取とは異なるように思えますが、廃棄によって会社が所有権を失い、経済的損害を被る場合、窃盗罪が成立する可能性があります。 特に、高価な備品や機密情報が含まれる書類などを無断で廃棄した場合、その罪状は重くなります。

横領罪とは、他人の物を預かっている者が、それを自分のものとして不正に処分したことを罪とする犯罪です。 会社員は、仕事を通じて様々な備品や書類を預かっています。 これらを勝手に処分した場合、横領罪に問われる可能性があります。 例えば、会社の倉庫に保管されていた未使用の備品を、許可なく廃棄した場合などが該当します。

刑事責任に加え、民事責任も問われる可能性があります。 会社は、廃棄された物によって被った損害（例えば、代替品の購入費用、業務の停滞による損失など）について、損害賠償請求を行うことができます。 これは、廃棄物の種類や量、会社の損害の程度によって大きく変動しますが、場合によっては高額な賠償金を支払わなければならない可能性も否定できません。

さらに、会社の信用失墜にも繋がる可能性があります。 例えば、機密情報を含む書類を適切に廃棄せず、情報漏洩につながった場合、会社は大きな損害を被るだけでなく、社会的信用を失墜させることになります。 これは、個人の責任にとどまらず、会社全体に影響を及ぼす深刻な問題です。

では、どのようにすればこのようなトラブルを回避できるのでしょうか？ 最も重要なのは、会社所有物を処分する際には、必ず上司や担当者への許可を得ることです。 廃棄する前に、その物の価値や重要性、廃棄方法について確認し、指示に従うことが不可欠です。 許可を得る際には、廃棄理由や処分方法などを明確に伝えることが重要です。 また、廃棄した物の記録を残しておくことも、後々のトラブルを防ぐために有効です。

結論として、会社所有物を勝手に捨てることは、決して軽視できない重大な行為です。 刑事責任、民事責任、そして会社の信用失墜といったリスクを十分に認識し、常に会社の規則やルールに従って行動することが重要です。 些細な行為が大きな問題に発展する可能性を忘れず、責任ある行動を心がけましょう。