為何突然呼吸困難？

突然の呼吸困難：その原因を探る

息苦しさ、呼吸ができない。そんな突然の事態に遭遇したら、パニックに陥るのも無理はありません。 呼吸は生命維持に不可欠であり、その機能が阻害されることは、深刻な事態を暗示する可能性があるからです。 では、一体なぜ突然呼吸困難になるのでしょうか？その原因は多岐に渡り、正確な診断には医師の診察が不可欠です。本稿では、いくつかの可能性について解説し、緊急性の高いケースを見極めるための知識を提供します。

呼吸器系の問題: 呼吸困難の最も直接的な原因は、呼吸器系そのものの問題です。

• 喘息発作: 喘息患者は、気道が炎症や痙攣を起こし、狭窄することで呼吸困難を経験します。発作は突然始まり、息切れ、喘鳴（ゼーゼー、ヒューヒューという音）、胸部圧迫感などを伴います。既往歴がある場合は、自己管理のための吸入薬を使用する必要がありますが、症状が改善しない場合は直ちに医療機関を受診すべきです。

• 慢性閉塞性肺疾患（COPD）の増悪: COPDは、気管支炎や肺気腫などの慢性的な肺疾患の総称です。症状は徐々に悪化することが多いですが、感染症や大気汚染などによって突然悪化し、呼吸困難を引き起こすことがあります。 息切れに加え、咳や痰の増加、倦怠感などがみられます。

• 肺炎: 肺の感染症である肺炎は、呼吸困難、発熱、咳、胸痛などを引き起こします。特に高齢者や免疫力が低下している人では、重症化しやすく、迅速な治療が必要です。

• 気胸: 肺が破れ、空気が胸腔内に漏れる状態です。突然の胸痛と呼吸困難を伴い、深刻な場合、生命を脅かすこともあります。 胸部に鋭い痛みを感じた場合は、すぐに救急車を呼ぶべきです。

• 肺塞栓症: 肺動脈に血栓が詰まることで、呼吸困難、胸痛、呼吸困難などを引き起こします。 原因となる深部静脈血栓症（DVT）の既往歴や、長時間の移動など、血栓症のリスクがある場合は、注意が必要です。

呼吸器系以外の原因: 呼吸困難は、呼吸器系以外の問題からも引き起こされます。

• 心不全: 心臓が血液を十分に送り出せなくなった状態です。息切れ、倦怠感、むくみなどがみられます。特に安静時や夜間に息苦しさを感じることが特徴です。

• アナフィラキシーショック: アレルギー反応によって起こる重篤な全身反応で、呼吸困難、じんましん、意識消失などを引き起こします。エピペンなどの緊急治療が必要となります。

• 急性感染症: インフルエンザや新型コロナウイルス感染症など、全身性の感染症は、呼吸器症状を引き起こす場合があります。発熱、咳、倦怠感などが伴います。

• 薬物副作用: 特定の薬剤は、呼吸困難を引き起こす副作用を持つ場合があります。

• パニック障害: 心理的な原因として、パニック障害による呼吸困難も考えられます。激しい動悸や胸痛、息苦しさ、めまいなどを伴います。

• 脳圧亢進: 頭蓋内の圧力上昇によって呼吸が困難になることもあります。頭痛や意識障害などを伴う場合があります。

緊急性を判断する指標: 突然の呼吸困難は、常に緊急事態である可能性があります。以下の症状がある場合は、すぐに医療機関を受診するか、救急車を呼ぶべきです：

• 呼吸が非常に困難で、言葉を発するのが難しい
• 胸痛を伴う
• 青紫色に変色する（チアノーゼ）
• 意識が混濁している
• めまいがする

最後に、本稿はあくまで一般的な情報提供であり、医療アドバイスではありません。 突然の呼吸困難を感じた場合は、自己判断せずに必ず医師の診察を受けてください。早期発見と適切な治療が、症状の改善と重篤化の予防に繋がります。