落とし物を捨てることは罪になる?

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拾った落とし物を自分の物にするのは、遺失物横領罪という犯罪です。刑法で禁じられており、1年以下の懲役または10万円以下の罰金・科料が科せられます。落とし主を探したり、警察に届け出ることが大切です。

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拾った落とし物を捨てる行為は罪になるのか?

道端や電車内、お店の中などで、誰かが落としたと思われる物を見かけることは少なくありません。財布、スマートフォン、鍵、傘…様々な落とし物を見つけた時、私たちはどのように行動すべきでしょうか? 多くの人が「警察に届ける」という行為を思い浮かべると思いますが、もし「面倒だから」とか「価値がないから」といった理由で、その場で捨ててしまった場合、法的な責任を問われる可能性はあるのでしょうか?

結論から言うと、状況によっては罪に問われる可能性があります。 単純に「捨てる」という行為だけでなく、その背景にある意図や状況が重要になります。

まず、すでに述べられているように、拾った落とし物を自分のものにする行為は「遺失物横領罪」に該当します。 これは刑法に定められており、1年以下の懲役または10万円以下の罰金・科料が科せられます。つまり、落とし物を持ち帰ったり、隠したり、故意に自分の所有物であるかのように振る舞うことは明確な犯罪行為です。

では、落とし物を「捨てる」行為はどうでしょうか? これも状況によって解釈が異なります。

  • 明らかに価値のないゴミと判断される場合: 例えば、使い古されたティッシュや、中身の入っていない空き缶などを拾って捨てる行為は、一般的に罪には問われません。なぜなら、それらは通常、所有者が放棄したとみなされるからです。
  • 価値があり、明らかに所有者がいると思われる場合: スマートフォンや財布、鍵などのように、明らかに価値があり、持ち主が困っている可能性が高いものを、持ち帰らずとも、わざと人目につかない場所に隠したり、ゴミ箱に捨てたりした場合、遺失物横領罪の幇助罪、もしくは器物損壊罪に問われる可能性があります。幇助罪は、犯罪を容易にする行為に対して適用され、器物損壊罪は、他人の物を壊したり、その効用を害した場合に適用されます。

重要なのは、「善管注意義務」という考え方です。これは、他人の物を一時的に預かった場合、善良な管理者として注意を払い、適切な管理をする義務のことです。落とし物を拾った場合、必ずしも警察に届け出る義務があるわけではありませんが、少なくとも所有者が困らないように、適切な処置を講じる義務があると考えられます。

例えば、駅のホームでスマートフォンを拾ったとします。持ち主に返すことが難しい場合、駅員に預ける、駅の忘れ物センターに連絡する、などが適切な処置です。しかし、もし、スマートフォンをゴミ箱に捨てたり、線路に投げ込んだりした場合、器物損壊罪に問われる可能性が高くなります。

さらに、悪質なケースでは、窃盗罪が成立する可能性も否定できません。 例えば、落とし物を拾い、それを転売目的で捨て、後で回収するような行為は、窃盗罪とみなされる可能性があります。

結論として、落とし物を捨てる行為は、一概に罪になる、ならないと断言できるものではありません。しかし、価値があり、明らかに所有者がいると思われるものを、悪意を持って捨てる行為は、遺失物横領罪の幇助、器物損壊罪、場合によっては窃盗罪に問われる可能性があることを理解しておく必要があります。

拾った落とし物をどうすべきか迷った場合は、面倒だと思わずに、警察に届け出るか、近くの施設(駅、お店など)の職員に預けるのが最も安全で適切な行動と言えるでしょう。それが、社会の一員として、良識ある行動なのです。