防災で一番大切なことは何ですか？

防災で一番大切なことは「想像力」を養うこと

防災において「自助」の精神が重要であることは論を俟たないでしょう。しかし、その「自助」を効果的に機能させるためには、それを支える「想像力」が不可欠だと考えます。

災害は予測不能な事態を引き起こします。マニュアル通りにはいかない状況、想定外の困難に直面することは避けられません。だからこそ、過去の災害事例やハザードマップの情報だけでなく、自身が置かれている状況を具体的に想像する力が必要なのです。

例えば、あなたが住んでいる地域で地震が発生した場合を想像してみましょう。揺れの大きさ、家具の配置、避難経路の状況、家族の安否、そして近隣住民の状況。これらの要素を頭の中でシミュレーションすることで、取るべき行動が見えてきます。

• 家具の配置: 背の高い家具が倒れてくる可能性はありませんか？倒れる方向には人がいないか？転倒防止対策は万全ですか？
• 避難経路: 避難経路は安全ですか？瓦礫や倒木で塞がれていないか？夜間でも安全に避難できますか？
• 家族の安否: 家族が離れて暮らしている場合、どのように連絡を取り合いますか？安否確認の方法を決めていますか？
• 近隣住民: 高齢者や障がいを持つ方はいますか？助けを必要とする人はいないか？互いに助け合える関係を築けていますか？

これらの問いに具体的に答えられるように、日頃から想像力を働かせることが大切です。

さらに、「想像力」は備蓄品の準備にも役立ちます。単に水や食料を確保するだけでなく、実際にそれらを消費する状況を想像してみましょう。

• 水の備蓄: 水道が止まった場合、どのように水を確保しますか？飲料水だけでなく、生活用水も必要になることを考慮していますか？
• 食料の備蓄: 非常食は本当に食べられますか？アレルギーを持つ家族のために、代替食を用意していますか？調理器具がなくても食べられるものを用意していますか？
• その他: トイレが使えなくなった場合、どのように対処しますか？寒さをしのぐための防寒具はありますか？情報を得るためのラジオやモバイルバッテリーはありますか？

これらの問いに真剣に向き合うことで、本当に必要な備蓄品が見えてきます。

「想像力」を養うためには、防災訓練への積極的な参加、災害に関する情報を積極的に収集すること、そして家族や地域住民とのコミュニケーションを密にすることが重要です。

災害は決して他人事ではありません。いつ、どこで、どのような災害が起こるか誰にも予測できません。だからこそ、常に最悪の事態を想定し、具体的な対策を講じることが大切です。そして、その対策を支えるのは、日頃から培ってきた「想像力」なのです。

「自助」の精神を真に活かすために、私たちはもっと「想像力」を磨くべきです。それが、命を守るための最も大切なことだと信じています。