70歳代のおひとりさまの平均貯蓄額はいくらですか？

70代おひとりさま、リアルな平均貯蓄額とその裏側

70代でおひとり暮らしの方々にとって、貯蓄額は老後の生活を左右する重要な要素です。巷では「老後2000万円問題」などと言われていますが、実際の平均貯蓄額はどの程度なのでしょうか？

一般的に、70代単身世帯の平均貯蓄額は1529万円という数字がよく引用されます。しかし、この数字だけを見て安心するのは早計です。なぜなら、この金額はあくまで「平均値」であり、実際の状況を反映しているとは言い難いからです。

平均値の落とし穴：高額貯蓄者が数字を押し上げる

平均値は、集団全体の数値を足し上げて人数で割るため、一部の突出した高額貯蓄者の存在によって大きく左右されます。例えば、数百万円の貯蓄しかない人がほとんどの中で、億単位の資産を持つ人が一人いれば、平均値を大きく引き上げてしまうのです。

より実態に近いのは「中央値」です。中央値とは、データを小さい順に並べた際に真ん中に位置する値のこと。70代単身世帯の貯蓄額の中央値は500万円程度と言われています。つまり、70代でおひとり暮らしの方々の多くは、1529万円という平均値よりも少ない貯蓄額で生活している可能性が高いのです。

貯蓄額ゼロという厳しい現実

さらに、この数字には金融資産が全くない、つまり貯蓄額がゼロという方も含まれています。年金収入だけで生活している方、生活保護を受けている方など、その状況は様々です。病気や介護が必要になった場合、貯蓄がないと生活が立ち行かなくなるリスクも抱えています。

貯蓄額以外にも目を向ける

もちろん、貯蓄額だけが全てではありません。持ち家がある場合は、資産として考えることができますし、年金収入や退職金、その他の収入源なども生活を支える重要な要素です。また、健康状態も大きく影響します。元気であれば、パートタイムで働くことも可能ですし、医療費も抑えられます。

大切なのは現状を把握し、備えること

70代でおひとり暮らしの方々にとって、貯蓄額はあくまで生活設計の一つの指標です。大切なのは、ご自身の現状をしっかりと把握し、将来を見据えた備えをすること。年金収入や支出を見直し、無駄な出費を抑える、できる範囲で働くなど、できることから始めてみましょう。

また、自治体や社会福祉協議会などが提供する生活支援サービスを活用することも有効です。困ったことがあれば、一人で抱え込まずに、専門機関に相談することも検討してみましょう。

老後の生活は、誰にとっても不安なものです。しかし、現状を把握し、できる限りの備えをすることで、少しでも安心して過ごせるように、今から行動することが大切です。