DPF再生のために走るには？

DPF再生のために「走る」という選択肢：本当に有効？都市部ユーザーが知っておくべきこと

DPF（Diesel Particulate Filter：ディーゼル微粒子捕集フィルター）の再生のために「走る」必要がある、というのは、ディーゼル車オーナーなら一度は耳にしたことがあるかもしれません。しかし、本当に「走る」だけでDPFは再生されるのでしょうか？そして、それは常に有効な手段なのでしょうか？この記事では、DPF再生のメカニズムを理解した上で、「走る」という選択肢の有効性と、都市部での使用における注意点を解説します。

DPFは、ディーゼルエンジンから排出される有害なPM（粒子状物質）を捕集するフィルターです。捕集されたPMは、DPF内部に蓄積され、放置するとフィルターが詰まり、エンジンの性能低下や故障の原因となります。そこで必要となるのがDPFの「再生」です。再生とは、高温でPMを燃焼させ、DPFをクリーンな状態に戻すことを指します。

一般的なDPF再生方法は、大きく分けて以下の３つです。

1. 自動再生： エンジンECUが、排気温度や走行状況などからDPFの詰まり具合を判断し、自動的に燃料を噴射して排気温度を上昇させ、PMを燃焼させる機能です。
2. 手動再生： 車内のスイッチ操作などで強制的にDPF再生を行う機能です。自動再生がうまくいかない場合や、警告灯が点灯した場合に用いられます。
3. 強制再生（ディーラーなど）： 専門的な機器を使用して、DPFを強制的に再生する方法です。手動再生でも改善しない場合や、DPFが深刻な状態になっている場合に用いられます。

冒頭で触れた「時速60km以上を維持し、30分以上の連続走行」は、自動再生を促すための運転方法と言えるでしょう。確かに、一定速度で走行することで排気温度が安定し、自動再生が作動しやすい状況を作り出すことができます。しかし、この方法は万能ではありません。

特に都市部での使用においては、以下の点に注意が必要です。

• 交通状況： 信号や渋滞が多く、安定した速度での連続走行が難しい場合が多いです。頻繁な加減速は排気温度を不安定にし、自動再生を阻害する可能性があります。
• 走行距離： 短距離走行が多いと、DPFが十分に温まらず、PMが燃焼しきれないことがあります。
• 油の種類：DPF付きのディーゼル車は、DPFへの影響を抑えた専用のエンジンオイルを使用する必要があります。間違ったオイルを使用すると、DPFの寿命を縮める原因になります。

では、都市部でDPFを長持ちさせるためにはどうすれば良いのでしょうか？

• 積極的に手動再生を行う： 警告灯が点灯する前に、定期的に手動再生を行うことで、DPFの詰まりを未然に防ぐことができます。取扱説明書をよく読み、正しい方法で手動再生を行いましょう。
• 定期的なメンテナンス： ディーラーや整備工場で定期的な点検を受け、DPFの状態を確認してもらいましょう。必要に応じて、専門的なクリーニングや強制再生を依頼することも有効です。
• 走行環境の見直し： 可能であれば、週末などに高速道路を利用し、意識的に長距離走行を行うのも良いでしょう。

DPF再生のために「走る」という行為は、あくまで自動再生を促すための手段の一つです。都市部での使用においては、交通状況や走行距離などの制約があり、必ずしも有効とは限りません。手動再生の活用や定期的なメンテナンスなど、総合的な対策を講じることで、DPFを長持ちさせ、快適なディーゼルライフを送りましょう。