クリープ現象が起こらない車種は？

クリープ現象を感じないクルマ選び：MT車、EV車だけじゃない選択肢

クリープ現象。アクセルペダルを踏んでいないのに、車がゆっくりと前進するこの現象は、多くのドライバーにとって馴染み深いものです。特に渋滞時や駐車時に便利と感じる一方、初心者ドライバーにとっては扱いにくさを感じることもあるでしょう。このクリープ現象は、主にトルクコンバーター式オートマチック車（AT車）で発生します。トルクコンバーターは、エンジンからの動力を油圧で伝達する装置で、常にわずかな駆動力を発生させるため、クリープ現象が生じます。

では、クリープ現象のない車は、マニュアルトランスミッション（MT）車と電気自動車（EV）車だけなのでしょうか？答えはNOです。近年、AT車の中でもクリープ現象を抑制、あるいは完全にキャンセルできる車種が増えてきています。

まず挙げられるのは、CVT（無段変速機）を搭載した一部の車種です。CVTはトルクコンバーターではなく、ベルトやチェーンを用いて変速するため、クリープ現象は本来発生しません。しかし、ドライバーの慣れ親しんだAT車の操作感を再現するため、擬似的にクリープ現象を作り出している車種もあります。一方で、設定でクリープ現象をOFFにできるCVT車も存在し、よりスムーズな発進・停止を可能にしています。日産のe-POWER搭載車などは、この制御を活かしてワンペダルドライブを実現し、アクセル操作だけで加減速をコントロールできるようになっています。

次に、DCT（デュアルクラッチトランスミッション）搭載車もクリープ現象の制御が可能です。DCTは2つのクラッチを用いて変速を行うため、構造的にはMT車に近い特性を持っています。そのため、クリープ現象を発生させない設定にすることも容易で、スポーティな driving experience を提供する車種に多く採用されています。例えば、一部の欧州車やスポーツカーでは、クリープ現象を抑えることで、よりダイレクトな操作感を実現しています。

さらに、最近ではトルクコンバーター式AT車でも、クリープ現象を制御する機能が搭載されるようになってきました。高度な電子制御技術により、ブレーキペダルを軽く踏んでいる間はクリープ現象を抑制し、停止保持機能と組み合わせることで、よりスムーズな発進・停止操作を可能にしています。

このように、クリープ現象のない、あるいは抑制できる車種は、MT車やEV車以外にも多様化しています。車選びの際には、自身の運転スタイルや好みに合わせて、クリープ現象の有無も考慮に入れてみることをおすすめします。特に、

• 駐車や渋滞時の微調整が苦手な方
• スムーズな発進・停止を重視する方
• ワンペダルドライブに興味のある方

などは、クリープ現象の有無をしっかりと確認することで、より快適なカーライフを送ることができるでしょう。

最後に、クリープ現象の有無は、取扱説明書やメーカーのウェブサイト、あるいは試乗を通して確認できます。販売店スタッフに相談してみるのも良いでしょう。自分に最適な一台を見つけるために、様々な情報を活用し、納得のいく車選びを心がけましょう。