コンプレッションとは医療用語でどういう意味ですか?

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コンプレッションとは、医療分野では「圧迫」や「圧迫療法」を指します。これは、特定の部位に圧力を加えることで、血流を改善したり、むくみを軽減したりする治療法です。弾性ストッキングや包帯などを用いて行われ、静脈瘤やリンパ浮腫の治療に用いられます。

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コンプレッション療法:医療における圧迫の力

コンプレッション(Compression)という言葉は、日本語で「圧縮」や「圧迫」と訳されます。医療現場では、単に物理的な圧迫という行為だけでなく、特定の目的を持って圧力を加えるコンプレッション療法として重要な役割を果たしています。

コンプレッション療法は、血管やリンパ管に外部から圧力を加えることで、その機能をサポートし、様々な症状の緩和や治療を目的とします。その効果は多岐に渡り、以下のようなメカニズムで実現されます。

  • 静脈還流の促進: 下肢静脈瘤や慢性静脈不全などの場合、静脈の弁機能が低下し、血液が心臓に戻りにくくなります。コンプレッション療法は、下肢に圧力を加えることで静脈を物理的に圧迫し、血液を心臓へと押し上げる力をサポートします。これにより、血液のうっ滞を軽減し、むくみや痛み、皮膚の変化などを改善します。
  • リンパ液の流れの改善: リンパ浮腫は、リンパ管の機能低下によりリンパ液が組織に溜まってしまう状態です。コンプレッション療法は、リンパ管を圧迫することでリンパ液の流れを促進し、組織に溜まったリンパ液を排出するのを助けます。
  • 組織間液の吸収促進: コンプレッション療法は、組織にかかる圧力を高めることで、組織間液を血管やリンパ管へと押し戻し、むくみを軽減します。
  • 深部静脈血栓症(DVT)の予防: 手術後や長時間のフライトなど、血液が固まりやすい状況下では、下肢の深部静脈に血栓ができやすくなります。コンプレッション療法は、下肢の静脈血流を促進することで、血栓の形成を予防する効果が期待できます。

コンプレッション療法は、主に以下のような医療現場で活用されています。

  • 血管外科: 下肢静脈瘤、慢性静脈不全、深部静脈血栓症の治療・予防
  • 形成外科: リンパ浮腫の治療
  • 整形外科: 骨折や手術後のむくみ軽減
  • 循環器内科: 心不全によるむくみの軽減

コンプレッション療法には、様々な種類があり、症状や目的に合わせて適切な方法が選択されます。

  • 弾性ストッキング: 最も一般的な方法で、足首から太ももにかけて段階的に圧力を加えるように設計されています。様々な圧迫度や形状のものが市販されており、医療機関で処方されるものもあります。
  • 弾性包帯: 自分で巻くタイプの包帯で、圧迫度を調整できます。正しい巻き方を習得する必要があり、専門家の指導を受けることが重要です。
  • 間欠的空気圧迫装置(IPC): 空気ポンプで間欠的に圧力を加える装置で、主に病院で使用されます。下肢全体を覆うスリーブ状のものを装着し、一定時間ごとに圧迫と解放を繰り返します。
  • 圧迫下着: リンパ浮腫の治療などに用いられる、特殊な形状の圧迫下着です。

コンプレッション療法は、安全で効果的な治療法ですが、注意点もあります。

  • 動脈疾患: 重度の動脈疾患がある場合は、血流が悪化する可能性があるため、コンプレッション療法は禁忌となります。
  • 皮膚疾患: 皮膚に炎症や感染がある場合は、悪化する可能性があるため、注意が必要です。
  • 糖尿病: 糖尿病による神経障害がある場合は、圧迫による皮膚への影響を感じにくいため、慎重に行う必要があります。

コンプレッション療法を受ける際には、必ず医師や専門家に相談し、適切な方法を選択し、正しい使用方法を指導してもらうようにしましょう。