前立腺がんの転移がない場合、余命はどのくらいですか？

転移のない前立腺がん：余命と向き合うための情報

前立腺がんと診断された場合、多くの方がまず気になるのは「余命」についてでしょう。特に、転移がない（局所にとどまっている）前立腺がんの場合、治療の選択肢も幅広く、予後も比較的良好であることが一般的です。しかし、「どのくらいの余命が見込めるのか」という問いに対する答えは、一概には言えません。なぜなら、余命は個々の状況によって大きく左右されるからです。

「転移がない」とはどういう状態を指すのか

まず、「転移がない」という言葉の意味を明確にしておく必要があります。これは、がん細胞が前立腺の周辺組織やリンパ節、骨などの他の臓器に広がっていない状態を指します。画像診断（MRI、CT、骨シンチグラフィなど）や生検の結果に基づいて判断されます。

余命を左右する主な要因

転移のない前立腺がんの余命を左右する要因は、以下のものが挙げられます。

• がんの悪性度（グリーソンスコア）： 生検で採取した組織を顕微鏡で観察し、がん細胞の異型度合いを評価するものです。数値が高いほど悪性度が高く、進行が速い傾向があります。
• がんのステージ（病期）： がんの大きさや広がりを示す指標です。ステージIからIVまであり、数値が大きいほど進行していることを意味します。
• PSA値： 前立腺特異抗原（Prostate Specific Antigen）のことで、血液検査で測定します。PSA値が高いほど、がん細胞が存在する可能性が高いとされます。治療後のPSA値の推移も、予後を予測する上で重要な指標となります。
• 年齢と全体的な健康状態： 年齢が高いほど、または他の疾患を抱えているほど、治療による体への負担が大きくなる可能性があります。また、がん以外の原因で亡くなる可能性も考慮する必要があります。
• 治療法： 手術（前立腺全摘除術）、放射線療法、ホルモン療法、化学療法など、様々な治療法が存在します。それぞれの治療法によって、効果や副作用、そして予後が異なります。
• 治療への反応： 同じ治療法でも、患者さんによって治療への反応は異なります。治療の効果が高いほど、予後は良好になる傾向があります。
• ライフスタイル： 食事、運動、喫煙習慣などが、がんの進行や治療効果に影響を与える可能性があります。

5年相対生存率の解釈

冒頭で触れられている「5年相対生存率」は、あくまで統計的な指標です。これは、同じ年齢、性別の人が同じ期間に生存する確率と比較して、前立腺がん患者さんが5年間生存する確率を示すものです。ステージI～IIIの前立腺がんでは、5年相対生存率がほぼ100%と非常に高いですが、これはあくまで集団全体としてのデータであり、個々の患者さんの状況を反映するものではありません。

重要なのは個別化された情報

前立腺がんの治療は、それぞれの患者さんの状況に合わせて個別化されるべきです。医師は、上記の様々な要因を総合的に判断し、最適な治療計画を提案します。ご自身の余命について正確な情報を得るためには、担当医と十分に話し合い、疑問や不安を解消することが重要です。

積極的な姿勢で治療に取り組む

前立腺がんと診断された場合、不安や恐怖を感じるのは当然です。しかし、悲観的になるのではなく、積極的に治療に取り組み、健康的な生活習慣を心がけることが、予後を改善するために重要です。医師や家族、友人など、周囲のサポートを受けながら、前向きな気持ちで治療に臨みましょう。

参考情報

• 国立がん研究センターがん情報サービス：https://ganjoho.jp/
• 日本泌尿器科学会：https://www.urology.or.jp/

これらの情報源も参考に、より詳しい情報を収集し、ご自身の状況に合った適切な判断をしてください。

#余命予測#前立腺がん#転移