坂道をNで走るとどうなる?

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下り坂で「N」走行すると、エンジンブレーキが効かずフットブレーキだけに頼ることになります。 過度に依存するとブレーキの「ベーパーロック現象」や「フェード現象」を引き起こし、大変危険です。
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坂道をN(ニュートラル)で走るとどうなるか? 一見すると燃料節約になると思われがちですが、実際は非常に危険な行為です。下り坂で「N」走行すると、エンジンブレーキが効かず、フットブレーキだけに頼ることになります。 これは、自転車で下り坂をブレーキなしで走るようなもので、速度のコントロールが非常に難しくなります。

下り坂でのN走行の危険性は、ブレーキへの過負荷から生じます。 車は想像以上に重く、重力によって加速していくため、フットブレーキへの負担は増大します。過度に依存すると、ブレーキの「ベーパーロック現象」や「フェード現象」を引き起こし、ブレーキが効かなくなる可能性があります。

ベーパーロック現象とは?

ブレーキフルードは、ブレーキペダルを踏む力をブレーキパッドに伝える役割を果たす液体です。 しかし、過度の摩擦熱によってブレーキフルードが沸騰し、気泡が発生することがあります。 気体は液体と比べて圧縮しやすいため、ブレーキペダルを踏んでも圧力が伝わらなくなり、ブレーキが効かなくなるのです。これがベーパーロック現象です。 急な下り坂でN走行をし、フットブレーキを多用すると、この現象が起こるリスクが高まります。

フェード現象とは?

フェード現象は、ブレーキパッドやローターが高温になり、摩擦係数が低下することで発生します。 ブレーキパッドが焼き付き、本来の制動力を発揮できなくなる状態です。 これもまた、下り坂でN走行をし、フットブレーキに過度の負担をかけ続けることで起こりやすくなります。

N走行のその他の危険性

ブレーキ系統への負担以外にも、N走行には様々な危険性が潜んでいます。

  • ハンドリングの悪化: エンジンブレーキが効かないため、車の安定性が低下し、ハンドル操作が難しくなります。特にカーブや雨天時など、路面状況が悪い場合は危険度が増します。
  • エンジンへの負担: 下り坂から平坦路、あるいは上り坂にさしかかった際に、急激にエンジンを繋ぐと、エンジンやトランスミッションに大きな負担がかかります。最悪の場合、故障の原因にもなりかねません。
  • 燃費の悪化: 最近の車は、燃料噴射をカットする機構が備わっており、Dレンジで走行し、アクセルを離すと燃料消費が抑えられます。Nレンジではこの機構が働かないため、かえって燃費が悪化する可能性があります。

安全な下り坂の走行方法

下り坂では、エンジンブレーキを有効活用し、フットブレーキとの併用で速度をコントロールすることが重要です。 AT車の場合は、Dレンジのままアクセルをオフにする、またはシフトダウンすることでエンジンブレーキを効かせることができます。 MT車の場合は、適切なギアを選択することでエンジンブレーキを調整します。

また、長距離の下り坂では、フットブレーキの過熱を防ぐために、こまめに休憩を取り、ブレーキを冷却することも大切です。

結論として、坂道、特に下り坂でのN走行は、燃費節約どころか、重大な事故につながる危険な行為です。 安全運転のためにも、N走行は絶対に避け、適切なギアとブレーキ操作を心がけましょう。 安全は、何よりも優先されるべきです。 目先のわずかな利益よりも、自身の安全、そして周囲の安全を守ることを最優先に考えましょう。