札幌の地下鉄はなぜタイヤで走っているのですか?

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札幌の南北線地下鉄は、ゴムタイヤを使用しています。これは、地上区間を走行する際に急勾配を登る必要があるためで、ゴムタイヤは従来の鉄輪よりも登坂性に優れています。地上区間はかまぼこ型のシェルターで覆われており、雪の多い札幌でも安全な走行が可能になっています。

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札幌の地下鉄、特に南北線を見ると、他の都市の地下鉄とは明らかに違う点があります。それは、ゴムタイヤを使用していることです。なぜ札幌の地下鉄は、鉄の車輪ではなく、ゴムタイヤで走っているのでしょうか?その理由は、札幌特有の地形、気候、そして都市計画に深く関わっています。

札幌の南北線は、開業当初から市内中心部と郊外を結ぶ重要な役割を担っていました。そして、そのルートの一部、特に北24条駅から麻生駅にかけての区間は、急な勾配を伴う丘陵地帯を通過する必要がありました。この急勾配を克服するために、従来の鉄輪式よりも登坂能力に優れたゴムタイヤ方式が採用されたのです。ゴムタイヤは路面との摩擦力が大きく、急勾配でもスリップしにくいという特性があります。これは、特に雪の多い札幌において、安全な運行を確保する上で重要な要素でした。

また、ゴムタイヤ方式は、鉄輪式に比べて騒音や振動が少ないというメリットもあります。地下鉄が住宅地に近い場所を通過する場合、騒音や振動は大きな問題となります。ゴムタイヤを採用することで、これらの問題を軽減し、周辺住民への影響を最小限に抑えることが可能となりました。

さらに、札幌の南北線は、一部区間で地上を走行します。この地上区間は、独特なかまぼこ型のシェルターで覆われています。これは、札幌の厳しい冬、特に積雪による運行への影響を最小限に抑えるための工夫です。シェルターは雪の侵入を防ぎ、レールや車両への着雪によるトラブルを防止します。また、強風による遅延や運休のリスクも軽減します。このシェルターとゴムタイヤの組み合わせは、札幌の気候条件に最適化された、独自の地下鉄システムと言えるでしょう。

ゴムタイヤ方式の採用には、もちろん課題もありました。ゴムタイヤは鉄輪に比べて摩耗が早く、定期的な交換が必要となります。また、導入当初は、ゴムタイヤの耐久性や信頼性に対する懸念もありました。しかし、技術の進歩により、これらの課題は克服され、現在では、札幌の地下鉄は安全かつ安定した運行を実現しています。

さらに、南北線の成功を受けて、札幌の東西線や東豊線でもゴムタイヤ方式が採用されました。東西線は、一部区間で勾配は緩やかですが、市街地を縦断するため、騒音や振動の抑制が重要な課題でした。東豊線は、全線地下区間ですが、より快適な乗り心地を提供するためにゴムタイヤ方式が選ばれました。このように、札幌の地下鉄網全体でゴムタイヤ方式が採用されているのは、それぞれの路線の特性やニーズに合わせて最適なシステムが選択された結果と言えるでしょう。

札幌の地下鉄は、単なる交通手段ではなく、都市の地形、気候、そして歴史と密接に結びついた、独自の進化を遂げてきました。ゴムタイヤで走る地下鉄は、札幌の街の象徴であり、その革新的な技術は、他の都市の地下鉄システムにも影響を与えていると言えるでしょう。そして、これからも札幌の街と共に、進化を続けていくことでしょう。