歳をとると毛が濃くなるのはなぜですか？

なぜ歳をとると毛が濃くなるのか？～ホルモンと毛周期の変化がもたらす影響～

「年を取ると、なんだか耳毛が伸びてきたような…」「若い頃は気にならなかったのに、眉毛が濃くなってきた気がする…」そんな経験はありませんか？加齢とともに体毛が濃くなる現象は、多くの人が経験することであり、一概に「老化現象」と片付けることはできますが、その背景には複雑なメカニズムが隠されています。

結論から言うと、加齢によって体毛が濃くなる主な理由は、ホルモンバランスの変化と毛周期の変化の2つが挙げられます。

1. ホルモンバランスの変化：男性ホルモンの影響

私たちの体の中では、様々なホルモンが分泌され、そのバランスを保つことで身体機能が維持されています。特に、男性ホルモンであるテストステロンは、体毛の成長に大きな影響を与えます。

女性の場合、更年期を迎えると女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が減少します。これにより、相対的に男性ホルモンであるテストステロンの割合が高くなり、体毛、特に口周りや顎などのヒゲが生えやすくなることがあります。

男性の場合、テストステロンの分泌量は加齢とともに徐々に減少しますが、その影響を受けやすい特定の部位の毛包（毛根を包む組織）が存在します。例えば、耳や鼻の穴の中、眉毛などが該当します。これらの部位の毛包は、テストステロンの影響を受けやすく、加齢とともに活性化されるため、結果的に毛が太く、濃くなることがあります。

2. 毛周期の変化：毛の成長期間の延長

毛周期とは、毛が生え始めてから抜け落ちるまでのサイクルを指します。このサイクルは、成長期、退行期、休止期の3つの段階に分けられます。若い頃は、このサイクルが比較的短く、毛が伸びる期間も限られています。

しかし、加齢とともに毛周期が長くなる傾向があります。特に、成長期が長くなることで、毛が伸びる期間が長くなり、結果的に耳毛や眉毛などが目に見えて濃く、長くなることがあります。

さらに、毛周期の変化は、毛の太さにも影響を与えます。加齢とともに毛包の機能が変化し、より太く硬い毛が生えやすくなることがあります。

まとめ

加齢に伴い体毛が濃くなるのは、ホルモンバランスの変化と毛周期の変化という、複合的な要因が絡み合って起こる現象です。特に、男性ホルモンであるテストステロンの影響を受けやすい特定の部位の毛包が活性化されること、毛周期が長くなることで毛が伸びる期間が長くなることが、その主な理由として挙げられます。

体毛が濃くなることは、必ずしも悪いことではありませんが、気になる場合は、適切な処理をすることで清潔感を保つことができます。また、体毛の急激な変化は、ホルモンバランスの異常など、何らかの疾患が隠れている可能性も考えられますので、気になる場合は医師に相談することをおすすめします。