致死率ほぼ100%の病気は?

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狂犬病は、ほぼ100%の致死率を誇る恐ろしい感染症です。感染動物に咬まれることで、体内に狂犬病ウイルスが侵入し発症します。適切な治療が行われない限り、ほぼ確実に死に至ります。早期のワクチン接種が重要です。

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致死率ほぼ100%の病気:狂犬病だけじゃない、知られざる脅威

狂犬病は、発症後の致死率がほぼ100%という恐ろしい感染症として広く知られています。しかし、現代医学をもってしても、ほぼ確実に死に至る病は他にも存在します。今回は、狂犬病を含め、致死率が極めて高い病気について詳しく見ていきましょう。

1. 狂犬病:今もなお脅威となる古典的な感染症

狂犬病ウイルスに感染した動物に咬まれることで感染し、神経系を侵していきます。初期症状は風邪に似ていますが、次第に神経症状が現れ、最終的には呼吸麻痺や心停止に至ります。暴露後すぐにワクチン接種を受ければ発症を防ぐことができますが、発症してしまうと有効な治療法は確立されておらず、ほぼ確実に死に至ります。世界保健機関(WHO)によると、毎年世界中で約59,000人が狂犬病で亡くなっており、その多くがアジアやアフリカで発生しています。日本は、厳格な検疫と予防接種プログラムのおかげで、狂犬病清浄国となっていますが、海外渡航時には注意が必要です。

2. プリオン病:謎に包まれた難病

プリオン病は、異常プリオンと呼ばれるタンパク質が脳に蓄積することで引き起こされる神経変性疾患です。代表的なものに、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、牛海綿状脳症(BSE、いわゆる狂牛病)などがあります。プリオン病は、感染性、遺伝性、孤発性の3つのタイプに分類されます。いずれも進行性の神経障害を引き起こし、認知機能の低下、運動障害、行動異常などの症状が現れ、最終的には死に至ります。有効な治療法は未だ確立されておらず、診断から数年以内に亡くなるケースがほとんどです。プリオン病は稀な疾患ですが、その特異な発症メカニズムと高い致死率から、医学研究の重要な対象となっています。

3. 進行性多巣性白質脳症(PML):免疫不全者に潜む脅威

PMLは、JCウイルスという一般的なウイルスが脳内で再活性化することで引き起こされる脱髄疾患です。通常、健康な人ではJCウイルスは潜伏感染しており、症状を引き起こすことはありません。しかし、免疫不全状態にある人、例えばHIV感染者や臓器移植を受けた人などでは、JCウイルスが再活性化し、PMLを発症するリスクが高まります。PMLは、神経症状を進行性に悪化させ、治療が困難な場合が多く、致死率の高い疾患です。近年、一部の免疫抑制剤の使用とPML発症の関連性が指摘されており、注意が必要です。

4. 致死的な遺伝性疾患

一部の遺伝性疾患も、早期に適切な治療が行われない場合、致死率が非常に高くなります。例えば、重症複合免疫不全症(SCID)は、免疫システムが正常に機能しないため、感染症に極めてかかりやすくなり、乳児期に死亡するリスクが高くなります。早期診断と骨髄移植などの治療が不可欠です。また、一部の先天性代謝異常症も、早期に発見し、厳格な食事療法や薬物療法を行わないと、重篤な神経障害や臓器障害を引き起こし、死に至ることがあります。

5. 早期発見と適切な対応が重要

これらの疾患は、いずれも早期発見と適切な対応が重要です。狂犬病のように予防可能な疾患は、ワクチン接種などで未然に防ぐことが最善策です。また、プリオン病やPMLのように有効な治療法が確立されていない疾患でも、早期診断によって症状の進行を遅らせたり、合併症を防いだりすることが可能です。少しでも異常を感じたら、ためらわずに医療機関を受診することが大切です。

現代医学は日々進歩していますが、未だに克服できない病気が存在します。これらの疾患について理解を深め、適切な予防策を講じることで、自身と周りの人の健康を守ることが重要です。