軽油と灯油は同じですか?

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軽油と灯油はどちらもケロシンをベースとしますが、用途が異なるため組成が違います。軽油はディーゼルエンジンの燃料として使用されるため、潤滑性向上や燃焼効率を高める添加剤が含まれ、灯油との識別のために着色されています。精製方法も用途に最適化されています。 両者は成分比率や添加剤の種類が異なり、決して同一ではありません。

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軽油と灯油は本当に同じもの?燃料の違いを徹底解説

軽油と灯油、どちらも石油から作られる燃料であり、なんとなく似たイメージを持っている方もいるかもしれません。しかし、その用途は全く異なり、成分や性質も実は大きく違うのです。この記事では、軽油と灯油の違いについて、詳しく解説していきます。

基となるのは同じ?石油から生まれる二つの燃料

軽油と灯油は、どちらも原油を蒸留する過程で得られるケロシン(灯油留分)をベースとしています。この点は共通していますが、ここからが重要な違いです。

用途の違いが成分の違いを生む

軽油は、主にディーゼルエンジンの燃料として使用されます。ディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンと異なり、圧縮された空気の熱で燃料を発火させる仕組みです。そのため、軽油には、

  • セタン価向上剤: セタン価とは、ディーゼル燃料の着火性の指標です。高いほど着火しやすく、エンジンの始動性や燃焼効率が向上します。
  • 潤滑性向上剤: ディーゼルエンジンの燃料噴射ポンプは、非常に精密な部品で構成されており、燃料自体にも潤滑性が求められます。
  • 清浄剤: エンジン内部の汚れを防ぎ、性能を維持するための添加剤です。
  • 着色剤: 灯油との誤用を防ぐために、通常は赤色に着色されています。

といった添加剤が加えられています。

一方、灯油は、主に家庭用の暖房器具やストーブの燃料として使用されます。そのため、

  • 燃焼促進剤: より完全な燃焼を促し、煤の発生を抑制する添加剤です。
  • 酸化防止剤: 長期保存時の品質劣化を防ぐための添加剤です。

などが加えられます。

精製方法も用途に合わせて調整

軽油と灯油は、ケロシン留分をさらに精製する工程も異なります。軽油は、ディーゼルエンジンに求められる性能を満たすように、硫黄分を極力除去したり、特定の成分を調整したりします。灯油も同様に、暖房器具での使用を考慮し、臭いを抑えたり、不純物を取り除いたりする処理が行われます。

絶対に混ぜてはいけない!誤用の危険性

軽油と灯油は、見た目が似ているため、誤って使用してしまうケースも考えられます。しかし、これは非常に危険な行為です。

  • 軽油を灯油ストーブに使用した場合: 不完全燃焼を起こし、一酸化炭素中毒の危険性が高まります。また、ストーブの故障の原因にもなります。
  • 灯油をディーゼルエンジンに使用した場合: エンジンの潤滑不良を引き起こし、故障の原因になります。最悪の場合、エンジンが焼き付いてしまうこともあります。

まとめ:軽油と灯油は似て非なるもの

軽油と灯油は、確かにどちらも石油由来の燃料ですが、用途に合わせて成分や精製方法が大きく異なります。互換性は全くなく、誤用は非常に危険です。それぞれの燃料の用途を正しく理解し、安全に使用するように心がけましょう。もし誤って給油してしまった場合は、絶対にエンジンをかけずに、専門業者に連絡して対処してもらうようにしてください。