WHOの肥満の基準は？

WHOと日本の肥満基準：なぜ違いがあるのか？そしてその意味は？

世界中で肥満が深刻な健康問題として認識される中、肥満の定義と判定基準は、予防対策や治療戦略を立てる上で非常に重要です。世界保健機関（WHO）は国際的な基準として、BMI（Body Mass Index：体格指数）30以上を肥満と定義していますが、国によってその基準が異なる場合があります。特に日本では、日本肥満学会がBMI 25以上を肥満と定義しており、WHOの基準よりも低い数値が採用されています。

この違いは一体なぜ生まれるのでしょうか？そして、それは私たちにどのような影響を与えるのでしょうか？

WHOの基準と普遍性

WHOがBMI 30以上を肥満の基準としているのは、世界中の様々な人種や民族における大規模な疫学調査の結果に基づいています。この基準は、肥満と関連する生活習慣病（糖尿病、高血圧、心血管疾患など）のリスクが高いとされるBMI値を包括的に捉えることを目的としています。普遍的な基準を設けることで、国際的な比較や研究、政策立案が容易になるというメリットがあります。

日本の基準と人種差、生活習慣

一方、日本肥満学会がBMI 25以上を肥満としているのは、日本人特有の体質や生活習慣を考慮した結果です。一般的に、アジア人は欧米人に比べて、同じBMI値でも内臓脂肪が蓄積しやすい傾向があります。内臓脂肪は生活習慣病のリスクを高めるため、より低いBMI値でも健康上のリスクが生じやすいと考えられています。

また、日本の食生活や運動習慣も、欧米とは異なる点が多く存在します。例えば、米を中心とした食生活は、炭水化物の摂取量が多くなりやすく、運動不足と相まって内臓脂肪の蓄積を招きやすいとされています。これらの要因を踏まえ、日本肥満学会はより早期の段階で肥満を認識し、生活習慣の改善を促すために、BMI 25以上を肥満の基準としています。

基準の違いが意味するもの

WHOと日本の肥満基準の違いは、単に数値の違いにとどまりません。これは、それぞれの国や地域における健康課題や文化的な背景を反映したものであり、肥満対策の戦略にも影響を与えます。

日本では、BMI 25以上を肥満とすることで、より多くの人々が肥満のリスクに気づき、早期に生活習慣の改善に取り組むきっかけとなります。しかし、一方で、過剰な自己診断や心理的な負担につながる可能性も指摘されています。

大切なこと

重要なのは、BMIはあくまで一つの指標であり、個人の健康状態を総合的に判断するためには、他の要素（年齢、性別、家族歴、生活習慣など）も考慮する必要があるということです。

ご自身のBMI値を知ることは大切ですが、数値に過度に囚われることなく、定期的な健康診断や医師の診察を通じて、ご自身の健康状態を把握し、適切なアドバイスを受けることが重要です。

そして、バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠など、健康的な生活習慣を心がけることが、肥満予防だけでなく、心身ともに健康な生活を送る上で不可欠です。