ファッショントレンド いつ決まる？

ファッショントレンドはいつ、誰が決める？隠された舞台裏を覗く

「今年のトレンドカラーは〇〇！」「この秋は〇〇素材がマスト！」街を歩けば、雑誌を開けば、SNSを覗けば、否が応でも目に飛び込んでくるファッショントレンド。でも、一体誰が、いつ、どのようにしてこれらのトレンドを決めているのでしょうか？

多くの人が漠然と「パリコレとかミラノコレクションが決めているんでしょ？」と思っているかもしれません。確かに、コレクションは非常に重要な役割を果たしていますが、それはあくまで表面的な現象の一部に過ぎません。トレンドの決定には、もっと複雑で、時間のかかるプロセスが存在します。

トレンド予測は2年前から始まる

冒頭でも触れられているように、ファッショントレンドの予測は、そのシーズンが始まる2年も前から始まります。これは驚くべき事実かもしれません。例えば、2024年秋冬のトレンドは、2022年の秋冬には既に予測され、決定に向けて動き出しているのです。

なぜそんなに早く予測する必要があるのでしょうか？それは、デザイナーが服をデザインし、素材を選び、生産ラインを整えるためには、十分な時間が必要だからです。もし、コレクション直前にトレンドが決まったとしても、デザイナーは対応する時間も、素材を調達する時間もありません。

トレンドセッターたちの複雑なネットワーク

では、2年前の段階で未来のトレンドを予測するのは、一体誰なのでしょうか？それは、特定の個人や組織ではなく、様々な分野の専門家からなる複雑なネットワークです。

• トレンド予測機関: WGSNやPromostylなどの専門機関は、社会情勢、経済状況、文化的な潮流、過去のトレンドの分析など、あらゆるデータを分析し、未来のトレンドを予測します。彼らは、素材、色、シルエット、テーマなど、様々な要素を予測し、その情報を有料で提供します。
• 素材メーカー: テキスタイルメーカーは、最新の素材技術や新しい素材の開発を進め、それらを積極的にデザイナーに提案します。新しい素材の登場は、新しいデザインの可能性を広げ、トレンドを生み出すきっかけとなります。
• デザイナー: トレンド予測機関から提供された情報や、自らの感性を基に、デザイナーは服をデザインします。彼らは、過去のアーカイブ、美術館、映画、音楽など、あらゆるものからインスピレーションを得て、新しいアイデアを生み出します。
• バイヤー: 百貨店やセレクトショップのバイヤーは、デザイナーが発表したコレクションの中から、売れると判断した商品を選びます。彼らの選択が、実際に市場に流通するトレンドを左右します。
• インフルエンサー: 近年、SNSの普及により、インフルエンサーの影響力は増大しています。彼らが着用した服やアクセサリーは、瞬く間にトレンドとなり、市場に大きな影響を与えます。

トレンドはトップダウンだけではない

トレンドは、トップダウンだけで生まれるものではありません。ストリートファッションや、若者文化など、ボトムアップで生まれるトレンドも存在します。これらのトレンドは、SNSを通じて拡散され、瞬く間に世界中に広がり、既存のトレンドに影響を与えることもあります。

トレンドは常に変化する

トレンドは、決して固定的なものではありません。社会情勢や経済状況、人々の価値観の変化など、様々な要因によって常に変化していきます。そのため、トレンド予測は、常にアップデートされ続ける必要があります。

私たちもトレンドの一部

結局のところ、トレンドは、私たち一人ひとりの選択によって作られるものです。私たちが何を着て、何を身につけるか、それがトレンドの一部となるのです。トレンドを鵜呑みにするのではなく、自分自身の個性を表現する手段として、ファッションを楽しんでいきましょう。

この文章が、ファッショントレンドの決定プロセスについて、より深く理解する一助となれば幸いです。