帝王切開で亡くなる確率は？

帝王切開における母体死亡率：現状とリスク要因、そして私たちにできること

帝王切開は、母体と胎児の安全を確保するための重要な医療処置です。しかし、自然分娩に比べて母体死亡のリスクが高いという事実も、きちんと理解しておく必要があります。一般的に、帝王切開における母体死亡率は、10万出産あたり約24件と報告されています。これはパーセンテージで表すと0.024%となり、数字だけを見ると非常に低い確率に感じられるかもしれません。しかし、自然分娩の母体死亡率と比較すると約6倍高いリスクとなるのです。

なぜ帝王切開は、自然分娩よりもリスクが高いのでしょうか？

1. 手術自体に伴うリスク:

帝王切開は、腹部を切開し子宮を切開する外科手術です。そのため、以下のようなリスクが伴います。

• 出血多量: 手術中に出血が多くなる可能性があり、輸血が必要になる場合もあります。
• 感染症: 切開部位からの感染や、子宮内感染のリスクがあります。
• 血栓症: 手術後の安静期間が長くなることで、血管内に血栓ができやすくなることがあります。
• 周辺臓器の損傷: まれに、膀胱や腸などの周辺臓器を損傷してしまうことがあります。

2. 麻酔に伴うリスク:

帝王切開では、全身麻酔または硬膜外麻酔が用いられます。どちらの麻酔方法にも、それぞれのリスクが存在します。

• 全身麻酔: アレルギー反応、呼吸困難、誤嚥などのリスクがあります。
• 硬膜外麻酔: 頭痛、血圧低下、神経損傷などのリスクがあります。

3. 緊急帝王切開のリスク:

予定された帝王切開よりも、緊急帝王切開の方がリスクが高い傾向にあります。緊急帝王切開は、予測できない状況下で迅速に判断し処置を行う必要があり、準備や体制が整わないまま手術に臨むことになる場合があるためです。例えば、胎児機能不全や常位胎盤剥離など、母体または胎児に生命の危機が迫っている場合に緊急帝王切開が行われます。

4. その他の要因:

• 母体の基礎疾患: 高血圧、糖尿病、肥満などの基礎疾患を持つ妊婦は、帝王切開のリスクが高くなる可能性があります。
• 高齢出産: 高齢出産も、帝王切開のリスクを高める要因の一つです。
• 多胎妊娠: 双子や三つ子などの多胎妊娠は、帝王切開になる可能性が高く、それに伴いリスクも高まります。

リスクを理解し、できること:

帝王切開におけるリスクを正しく理解することは、安全な出産を迎えるための第一歩です。

• 医師との十分な相談: 自身の健康状態や妊娠経過を医師に伝え、帝王切開のリスクについて詳しく説明を受けましょう。
• 計画的な妊娠: 基礎疾患を抱えている場合は、妊娠前に医師と相談し、可能な限り健康状態を改善することが重要です。
• 適切な体重管理: 妊娠中の体重増加は、帝王切開のリスクを高める可能性があります。適切な体重管理を心がけましょう。
• 緊急時の備え: 緊急帝王切開が必要になる可能性も考慮し、事前に医療機関や家族と連絡を取りやすい体制を整えておきましょう。

帝王切開は、母子ともに安全を確保するための重要な選択肢の一つです。リスクを理解した上で、医師と十分に相談し、自分にとって最適な出産方法を選択することが大切です。不安なことや疑問点は、遠慮なく医師に相談し、納得のいくまで説明を受けましょう。

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