成人式に親は行くものなの？

成人式に親は行くものなの？ この問いに対する答えは、シンプルではありません。かつては「親が子どもを見守る」という構図が当たり前だった成人式も、現代においては参加の可否、さらには参加することの意義自体が問われるようになってきています。

確かに、多くの自治体では、親の同伴を認めています。式典会場には、親御さん向けの席が用意されているケースも多く、せっかくの晴れ姿を写真や動画に収めたい、という親の気持ちは理解できます。二十歳になった我が子の成長を喜び、その門出を祝いたいという親心は、ごく自然なものです。そして、その思いを尊重する風潮も依然として根強く残っています。

しかし、近年は成人式に親が参加する割合がそれほど高くないという現実があります。その背景には、様々な要因が複雑に絡み合っています。

まず、成人式そのものの在り方に変化が見られます。かつては、地域社会全体で祝う厳粛な儀式という側面が強かった成人式ですが、近年は、同級生同士の再会や、思い出作りの場としての側面が強くなっています。そのため、親世代にとっては、やや居心地の悪い、あるいは場違いに感じられるケースもあるのではないでしょうか。

また、現代の親子の関係性の変化も無視できません。以前は親子の距離が近く、親の意向が強く影響する傾向がありましたが、現代では、より自立した関係性を築く傾向があります。成人式への参加についても、子ども本人の意思を尊重する傾向が強くなってきており、子どもが親の参加を望まない場合、親はそれを尊重する方向へとシフトしています。

さらに、参加することによる負担も考慮すべきでしょう。成人式の開催地によっては、交通費や宿泊費などの費用がかかる場合もあります。また、時間的な制約もあり、仕事や家事との両立も容易ではありません。特に地方在住の親御さんにとっては、大きな負担となる可能性があります。

そして、忘れてはならないのが、成人式に親が参加することの意義です。親が参加することで、子どもの晴れ姿を目に焼き付けることができる、家族としての絆を深めることができるというメリットは確かに存在します。しかし、一方で、子どもの自立を阻害する可能性も指摘されています。二十歳を迎えた子どもは、社会人としての第一歩を踏み出す段階にあり、親の過剰な介入は、かえって自立を妨げる可能性があるのです。

結論として、成人式に親が行くかどうかは、子ども本人と親、そして家族それぞれの状況や考え方に基づいて決定されるべきでしょう。自治体の情報を事前に確認することはもちろん重要ですが、それ以上に大切なのは、家族間の十分な話し合いと、お互いの気持ちを尊重することです。 成人式は、二十歳を迎えた本人にとって、人生における重要な節目です。その日をどのように迎え、どのように過ごしたいのか、本人の意思を第一に考えることが、最も重要ではないでしょうか。 親の役割は、その意思を尊重し、温かく見守ることにあると言えるでしょう。