トラックの空車回送とは?

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空車回送とは、荷物を積んでいないトラックが移動することです。例えば、東京から富山へ荷物を運んだトラックが、富山から東京へ戻る際に、積む荷物がないため、仕事がない状態で走行する状況を指します。これは、輸送効率を下げる要因となります。

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トラックの空車回送:物流の隠れたコストと、その削減に向けた取り組み

トラック輸送において、「空車回送」は避けて通れない課題であり、物流コスト増加の大きな要因となっています。 一般的には、荷物を積んでいないトラックが走行する状況を指しますが、その実態は複雑で、単なる「無駄な走行」として片付けるには、多くの問題を含んでいます。 本稿では、空車回送の現状、その原因、そしてその削減に向けた様々な取り組みについて解説します。

冒頭で述べた東京から富山への輸送を例に取ると、荷主Aから荷物を引き受け、富山に配送したトラックは、そのまま東京に戻る必要があります。しかし、富山から東京への荷物が確保できない場合、そのトラックは空車で帰ることになります。この空車回送は、燃料費、ドライバーの人件費、車両の減価償却費など、莫大なコストを発生させます。特に、長距離輸送においてその割合は大きくなり、物流企業の収益性を圧迫する大きな要因となっているのです。

空車回送が発生する原因は多岐に渡ります。まず挙げられるのは、輸送需要のアンバランスです。特定の地域から別の地域への輸送需要が高く、逆方向の需要が少ない場合、空車回送は避けられません。例えば、農産物の収穫期には、産地から都市部への輸送需要が急増しますが、逆方向の需要は少ないため、都市部から産地へ戻るトラックは空車となるケースが多いです。

次に、輸送計画の不備も大きな原因の一つです。最適なルート設定や輸送スケジュールが組まれていない場合、空車回送が発生しやすくなります。例えば、複数の荷主からの依頼を効率的に組み合わせる事ができていない、またはリアルタイムの交通情報などを活用した動的なルート変更ができていない場合などが挙げられます。

さらに、情報共有の不足も問題です。荷主、運送会社、荷役業者間での情報共有がスムーズに行われないと、空車車両の有効活用が難しくなります。例えば、ある運送会社が空車である車両を持っているのに、別の運送会社や荷主がその情報を知らなければ、その車両は空車のまま運行することになります。

空車回送の削減に向けては、様々な取り組みが進められています。デジタル技術の活用は特に注目されています。GPSやIoTを活用した車両管理システム、貨物情報プラットフォームなどが開発され、空車車両の情報をリアルタイムで共有し、効率的な輸送計画を立てることが可能になってきています。また、共同配送混載輸送といった、複数の荷主の貨物をまとめて輸送する仕組みも、空車回送の削減に貢献します。

さらに、新たな輸送手段の活用も検討されています。ドローンや自動運転トラックなどの技術革新によって、空車回送問題の解決に繋がる可能性も期待されています。

空車回送は、一見すると目に見えにくい問題ですが、物流コストに大きな影響を与えています。その削減は、企業の収益性向上だけでなく、環境問題への配慮という観点からも非常に重要です。今後、デジタル技術や新たな輸送手段の活用によって、空車回送問題がどのように解決されていくのか、注目すべき課題です。