ハイビームは法改正でどうなった？

ハイビームは法改正でどう変わった？──夜間の安全運転と運転者の意識

2017年3月、道路交通法が改正され、夜間の運転におけるハイビームの利用が大きく変化しました。改正以前は、状況に応じてハイビームとロービームを切り替えることが求められていたのに対し、改正後は「原則ハイビーム」が導入されました。一見すると、夜間の運転がより安全になるように思えますが、その裏には、細かなルール変更と、運転者への意識改革の必要性という側面が隠れています。

改正以前は、視界が良好で対向車や前方の車両がいない場合、ハイビームを使うのが一般的でした。しかし、対向車や前走車がいると、ロービーム（すれ違い灯）に切り替える義務がありました。この義務は曖昧な部分があり、運転者の判断に委ねられるケースが多かったと言えるでしょう。その結果、安全に配慮した運転をする一方で、場面によってはハイビームを使い続け、対向車や前走車を眩惑させるといった状況も発生していました。

2017年の改正では、この曖昧さを解消し、夜間の運転の安全性を明確に定めたと言えるでしょう。「原則ハイビーム」という明文化されたルールによって、運転者はハイビームの使用を前提とする運転行動へと移行せざるを得なくなりました。しかし、それは同時に、対向車や前走車がいる場合のロービームへの迅速な切り替えが求められることを意味します。

この変更は、夜間走行の安全性向上に貢献した一方で、運転者の負担が増したという声も聞かれました。例えば、夜間の道路状況の変化や、他の車両の動きの予測が難しいため、適切なタイミングでロービームに切り替えることが難しかったり、周囲の状況へのより高い注意力が求められるようになったりするからです。また、自動運転技術の普及や、車の性能向上で、より多くのドライバーが、ハイビームを積極的に利用できる環境も整備されてきています。

改正後の現状では、ハイビームを原則とすることで、対向車や前走車への配慮が重視されていると言えます。しかし、運転者は常に周囲の状況を注視し、必要に応じてロービームへの切り替えを行う義務を常に認識しておく必要があるでしょう。

さらに、この改正は、運転者の意識改革にも繋がることを期待されています。ハイビームを適切に使うことは、安全運転の基本であり、他のドライバーの安全を確保することにも繋がります。単にルールを遵守するだけでなく、周囲への配慮と、状況に応じた判断力が必要とされるのです。

例えば、前方の車両の挙動を見極め、ロービームに切り替えるタイミングを事前に見据えるといった、より積極的な安全運転への意識を持つことが求められます。そして、周りのドライバーも、自分自身がハイビームを使う以上、ロービームへの切り替えを速やかに、そして適切に行う義務を認識し、安全に配慮する必要があります。

夜間走行は、常に周囲の状況を把握し、安全運転を心がけることが不可欠です。道路交通法の改正は、運転者の意識改革と、安全運転への理解を深めるための大切な指針となるでしょう。 ハイビームの適切な使用は、夜間事故の防止に繋がるだけでなく、他のドライバーに対する敬意を示すことにも繋がります。それぞれのドライバーが、安全運転の意識を高め、夜間も快適で安全な道路環境を築いていくことが重要です。