マニュアル車に乗っている割合は？

日本の道路を走っている車のうち、マニュアル車は何割を占めているのか？正確な数値を掴むのは容易ではありません。国土交通省の統計データは、車の総台数や車種別登録台数を示していますが、トランスミッションの種類（マニュアル／オートマチック）に関する詳細な情報は公開されていません。そのため、マニュアル車の割合を正確に算出することは現状では不可能です。しかしながら、いくつかの指標から推測することは可能です。

まず、最も明確なデータとして、運転免許取得者の割合があります。令和4年の指定自動車教習所卒業者におけるマニュアル免許取得率は約27.3％というデータは、今後のマニュアル車利用者の減少を示唆する重要な指標です。この数値は、若年層におけるマニュアル車離れを如実に表しており、将来のマニュアル車保有率の低下に繋がる可能性が高いと言えます。この数字がそのまま道路を走るマニュアル車の割合に直結するわけではありませんが、将来的な傾向を示唆していると言えるでしょう。

なぜなら、免許取得後、実際にマニュアル車を運転し続ける人は、免許取得者全体の割合よりも少ないと予想されるからです。多くの場合、免許取得後、オートマチック車を購入する人が圧倒的に多いという現実があります。特に、近年は運転の容易さから、オートマチック車が圧倒的な人気を誇っており、新車販売においてもマニュアル車はごく一部に留まっています。中古車市場においても、マニュアル車の需要はオートマチック車と比較して低く、価格も比較的安価に設定されている傾向があります。

さらに、マニュアル車の維持に関わるコストも考慮すべきです。クラッチ操作やギアチェンジの習熟には時間と努力が必要であり、熟練者であっても、長時間の運転による疲労はオートマチック車に比べて大きくなる傾向があります。また、故障した場合の修理費用も、オートマチック車と比べて高くなる可能性も指摘されています。これらの要素が、マニュアル車の保有率を低く抑えている要因の一つと考えられます。

高齢者の運転免許返納も、マニュアル車保有率に影響を与えている可能性があります。高齢者の中には、長年マニュアル車を運転してきた方もいらっしゃいますが、年齢に伴う体力や反射神経の衰えから、運転の負担が大きくなり、免許返納を選択する方が増えています。返納された車両の多くは廃車処分されるため、これにより道路を走るマニュアル車の数は減少するでしょう。

以上の点を踏まえると、日本の道路を走るマニュアル車の割合は、免許取得率の27.3％を大きく下回る、一桁台後半から二桁台前半と推測できます。しかし、これはあくまで推測であり、正確な数値は国土交通省などによる更なる調査が必要となります。将来、自動運転技術の発達や環境問題への意識の高まりによって、車の需要や保有形態が大きく変化する可能性もあり、マニュアル車の存在自体が希少なものになる未来も想像できます。この変化を注視していくことが重要と言えるでしょう。