国内普通トラックのシェアは？

国内普通トラック市場：いすゞの牙城に迫る日野、混迷深まる競争の行方

日本の物流を支える縁の下の力持ち、普通トラック。その市場は、静かに、しかし確実に変化を遂げている。長年、首位の座に君臨してきたのはいすゞ自動車だが、その牙城に日野自動車が猛追を見せている。一方、三菱ふそうトラック・バスとUDトラックスは苦戦を強いられ、シェアを落としているのが現状だ。

2023年現在、国内普通トラック市場におけるシェアは、いすゞが約40.1%でトップを維持している。しかし、その数字は近年減少傾向にあり、盤石とは言えない状況だ。「エルフ」シリーズを中心に、長年培ってきた信頼性と燃費性能の高さで市場を牽引してきたものの、競合他社の攻勢や変化する顧客ニーズへの対応に遅れが生じているとの指摘もある。特に、近年注目を集める電動化や自動運転技術の開発において、他社に先行を許している感は否めない。

一方、日野自動車は約26.0%のシェアで2位につけており、その勢いは目覚ましい。「デュトロ」シリーズの好調に加え、トヨタ自動車との連携強化による技術開発の加速が、シェア拡大の原動力となっている。特に、燃料電池トラックの開発では業界をリードしており、次世代モビリティへの移行を見据えた戦略が功を奏していると言えるだろう。

三菱ふそうは約19.6%、UDトラックスは約14.3%と、それぞれ3位、4位に甘んじている。両社ともシェアは減少傾向にあり、厳しい状況が続いている。三菱ふそうは「キャンター」シリーズで一定の支持を得ているものの、目立った新技術の投入がなく、顧客獲得に苦戦している。UDトラックスはボルボ・グループ傘下に入り、グローバル戦略の一環として技術開発を進めているものの、国内市場での存在感は薄れつつある。

今後の国内普通トラック市場は、さらに激しい競争が予想される。電動化、自動運転、コネクテッド技術など、次世代モビリティへの転換期を迎える中で、各メーカーは生き残りをかけた戦略を展開していく必要がある。

特に注目すべきは、電動化への対応だ。環境規制の強化や脱炭素社会への移行に伴い、電気トラックや燃料電池トラックの需要は今後ますます高まっていくと予想される。この分野で先行する日野自動車は、優位性をさらに高める可能性がある。一方、いすゞは巻き返しを図るべく、電動化技術の開発に注力していくことが求められる。

また、自動運転技術の開発競争も激化していくと見られる。ドライバー不足の深刻化を背景に、自動運転トラックへの期待は高まっており、各メーカーは技術開発にしのぎを削っている。レベル4の自動運転技術の実用化に向けて、公道実証実験なども活発に行われており、今後の技術革新が市場の勢力図を大きく塗り替える可能性もある。

さらに、コネクテッド技術を活用した物流効率化も重要なキーワードとなる。トラックの運行データをリアルタイムで収集・分析することで、配送ルートの最適化や車両管理の効率化を実現するサービスが普及しつつある。各メーカーは、こうしたサービスの提供を通じて顧客のニーズに応えるとともに、新たな収益源の確保にも力を入れていくと考えられる。

国内普通トラック市場は、まさに変革の時代を迎えている。各メーカーの戦略、そして顧客の選択が、今後の市場の行方を左右するだろう。 進化する技術と変化するニーズに対応し、新たな価値を提供できる企業だけが、この競争を勝ち抜くことができるだろう。