寝不足で運転するのは違反ですか？

眠気と運転：違反か否か、そしてその危険性

「眠くて運転するのは違反？」という問いは、一見単純なようで、実は複雑な問題を含んでいます。明確な「眠気だけ」で違反となる規定は日本の道路交通法にはありません。しかし、眠気によって引き起こされる可能性のある行為、そしてその結果が、様々な違反に抵触する可能性があるのです。

例えば、居眠り運転による事故は「安全運転義務違反」に該当します。これは、運転者が交通事故を発生させないよう、安全に運転する責務を負っていることを規定したもので、居眠り運転は明らかにその義務に反する行為とみなされます。居眠り運転が事故につながった場合、2点の違反点数と反則金（普通車の場合9000円）が科せられるだけでなく、被害の程度によっては刑事罰（過失致死傷罪など）に問われる可能性も高いです。

しかし、事故を起こさなくても、眠気によって安全な運転ができなくなっている状態は、危険運転につながる可能性が高いと言えます。具体的には、以下のような行為が違反に問われる可能性があります。

• 車線逸脱: 眠気によって車線をはみ出し、他の車両と衝突する危険性がある場合。これは「危険運転致死傷罪」や「道路交通法違反（車線変更の禁止）」に抵触する可能性があります。
• 速度超過・急ブレーキ: 眠気によって反応速度が遅れ、速度超過や急ブレーキを踏む可能性があります。これも「危険運転致死傷罪」や「速度違反」に該当する可能性があります。
• 信号無視: 眠気によって信号を見逃したり、反応が遅れたりして信号無視をする可能性があります。「信号無視」の違反として罰則が科せられます。
• その他の危険行為: 眠気によって集中力が低下し、安全確認を怠ったり、適切な判断ができなくなったりする可能性があります。これらによって起こる様々な危険行為は、状況に応じて様々な違反に該当します。

重要なのは、眠気そのものが直接違反ではないとしても、眠気によって引き起こされた行為が違反になるということです。そして、それ以上に重要なのは、眠気運転が非常に危険な行為であるということです。居眠り運転は、自分自身だけでなく、他のドライバーや歩行者にも重大な危険をもたらします。一瞬の意識喪失が、取り返しのつかない事故につながる可能性があるのです。

運転前に十分な睡眠時間を確保することは、自分自身の命と他者の命を守るために絶対に必要なことです。仮眠を取っても、完全な休息にはならない場合もあります。疲労を感じたら、無理せず運転を中断し、休息を取ることが大切です。コーヒーやガムなどで一時的に眠気を紛らわせるのも、あくまで応急処置であり、根本的な解決策ではありません。

道路交通法は、運転者に対して安全運転の義務を課しています。その義務を果たすために、十分な睡眠を確保し、安全運転を心がけることは、単なる法律遵守の問題ではなく、倫理的な責任でもあると言えるでしょう。眠気を感じたら、決して運転をしないでください。あなたの命、そして他者の命を守るためにも。