当て逃げが捕まる確率は？

当て逃げ、逃げ得は幻想？ 捕まる確率とその理由

「ちょっとの擦り傷だし…」「誰も見ていないし…」。そんな軽い気持ちで事故を起こしてしまい、そのまま現場から立ち去ってしまう。いわゆる「当て逃げ」。しかし、その安易な判断は、後々大きな後悔を生む可能性があります。当て逃げは決して「逃げ得」ではなく、検挙率は非常に高く、厳しい罰則が待っています。

警察庁の統計によると、人身事故における当て逃げの検挙率は90％前後と非常に高い数値を維持しています。物損事故の場合でも、検挙率は低くなるものの、決して低いとは言えず、油断は禁物です。

なぜこれほど高い検挙率を誇るのでしょうか？それは、警察が当て逃げ事件の捜査に力を入れていること、そして現代の科学捜査技術の進歩が大きく関係しています。

まず、人身事故の場合、被害者の命に関わるため、警察は総力を挙げて捜査を行います。目撃者の確保はもちろんのこと、現場に残されたわずかな証拠も見逃しません。タイヤ痕、塗料片、破片など、これらは犯人特定の重要な手がかりとなります。また、近隣の防犯カメラの映像も重要な証拠となります。近年では、ドライブレコーダーの普及も進んでおり、決定的な証拠となるケースも少なくありません。

物損事故の場合でも、状況は同様です。軽微な損傷であっても、警察は現場検証を行い、証拠を収集します。特に、駐車車両への当て逃げの場合、被害者がドライブレコーダーを設置している可能性が高く、映像が証拠となるケースが増えています。

さらに、近年では科学捜査技術も飛躍的に進歩しています。微量の塗料片から車種を特定したり、わずかなタイヤ痕から車両の形状を推測したりすることも可能になってきています。これらの技術は、当て逃げ犯の特定に大きく貢献しています。

また、地域住民の防犯意識の高まりも、検挙率向上に一役買っています。「何か怪しい車を見た」「事故のような音が聞こえた」といった情報提供が、警察の捜査の手がかりとなるケースも少なくありません。

では、当て逃げをしてしまった場合、どのような罰則が待っているのでしょうか？

当て逃げは、道路交通法違反となり、人身事故の場合は「救護義務違反」が適用されます。これは、負傷者を救護せずに逃走した罪であり、7年以下の懲役もしくは禁錮、または100万円以下の罰金が科せられます。さらに、免許取消処分となり、欠格期間（免許を再取得できない期間）も2年以上と非常に重くなります。

物損事故の場合でも、「事故不申告」として、3ヶ月以下の懲役もしくは5万円以下の罰金が科せられます。また、行政処分として違反点数も加算され、免許停止処分となる可能性もあります。

これらの罰則に加え、民事上の責任も追及されます。被害者への損害賠償はもちろんのこと、場合によっては慰謝料の支払いも求められます。

「バレなければ大丈夫」という甘い考えは捨てましょう。当て逃げは決して「逃げ得」ではありません。高い検挙率、そして重い罰則を考えると、事故を起こしてしまった場合は、現場にとどまり、警察に通報するのが最善の策です。誠実な対応こそが、結果的に自分自身を守ることにつながります。

逃げずに、誠実に対応することで、被害者への負担を軽減し、自分自身も重い罰則を避けることができます。交通事故は、誰にでも起こりうるものです。だからこそ、日頃から安全運転を心がけ、万が一事故を起こしてしまった場合は、落ち着いて適切な行動をとることが大切です。