日産が潰れかけた理由は何ですか?

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日産はバブル崩壊後の拡大路線による過剰な設備投資と、魅力的な車種の不足が業績悪化の主因でした。リーマンショックやコロナ禍も追い打ちをかけ、経営危機に陥りました。大胆なリストラとルノーとの提携により、再建を目指しています。

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日産自動車がかつて経営危機に陥った原因は、単一要因ではなく、複雑に絡み合った複数の要因が重なった結果です。バブル崩壊後の拡大路線、製品戦略の失敗、そしてグローバル経済の変動が、日産を奈落の淵へと突き落としました。 簡潔な説明では済まされないほど、その背景には深く複雑な歴史と経営判断が隠されています。

まず、バブル崩壊後の日産は、過剰な設備投資と拡大路線を採りました。バブル景気の好況期に築かれた楽観的な見通しは、景気後退への対応を遅らせる結果となりました。需要予測の甘さと、過剰な競争意識による生産能力の拡大は、需要減少に直面した際、巨額の不良在庫と減損損失を生み出しました。新たな工場建設や設備導入といった投資は、採算を度外視した部分もあったと言われています。これは、企業体質としての「成長至上主義」が強すぎたことの表れと言えるでしょう。

次に、製品戦略の失敗が経営危機を深刻化させました。バブル崩壊後、消費者の嗜好は変化し、燃費の良い車や多様なニーズに対応した車種への需要が高まりました。しかし、日産はこれらの変化に対応しきれず、魅力的な新車種を市場に投入することができませんでした。既存車種の延命策に終始し、顧客の多様なニーズを捉えきれなかったことが、市場シェアの低下を招いたのです。特に、軽自動車市場やSUV市場といった成長分野で、競合他社に後れを取ったことが痛手となりました。マーケティング戦略の不備も指摘されており、時代の変化への対応の遅れは、日産の競争力を著しく低下させました。

さらに、外部環境の変化も日産を苦しめる大きな要因となりました。2008年のリーマンショックは、世界的な金融危機を引き起こし、自動車市場は壊滅的な打撃を受けました。世界的な需要減少は、日産の経営をさらに圧迫し、巨額の赤字を計上することとなりました。その後も、2011年の東日本大震災や、2020年からの新型コロナウイルス感染症の世界的流行といった、予期せぬ外部要因が、日産の経営回復を阻む要因となりました。これらの災害やパンデミックは、サプライチェーンの混乱や需要の急減を引き起こし、日産はこれらの影響を完全に克服することができませんでした。

これらの要因に加えて、内部統制の不備や、経営陣の判断ミスなども経営危機に繋がったと言えるでしょう。ゴーン氏の不正会計問題も、日産の信頼性を大きく損ないました。これは、企業ガバナンスの不備が、経営危機を悪化させた一例と言えます。

日産の復活劇は、大胆なリストラとルノーとの提携によって支えられました。しかし、その道程は決して容易ではありませんでした。日産のケースは、企業の成長と衰退、そして経営判断の重要性を示す、重要なビジネスケーススタディとして学ぶべき多くの教訓を含んでいると言えるでしょう。 単なる「失敗例」として片付けるのではなく、企業が成長を続けるために必要な、柔軟性、的確な市場分析、そして健全な企業ガバナンスの重要性を改めて認識させる事例と言えるのです。