日産の2024年の業績予想は?

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日産は2024年度通期の業績予想を大幅下方修正。売上高は12兆7000億円(前年比0.1%増)と発表したが、これは前回の予想から1兆3000億円減。営業利益は73.6%減の1500億円となり、厳しい経営状況が示された。半導体不足や原材料高騰などの影響が顕著に表れているとみられる。

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日産自動車、2024年度業績予想を大幅下方修正:構造改革とEV戦略の行方

日産自動車が発表した2024年度通期業績予想の大幅な下方修正は、自動車業界全体が直面する課題を浮き彫りにすると同時に、日産自身の構造改革と電動化戦略の進捗に対する疑問を投げかけています。売上高は前回予想から1兆3000億円減の12兆7000億円、営業利益は73.6%減の1500億円という数字は、決して楽観視できる状況ではありません。

下方修正の主な要因として、半導体不足や原材料価格の高騰が挙げられています。これは日産に限らず、多くの自動車メーカーが直面している問題ですが、日産の場合、ルノーとのアライアンス再構築や為替変動の影響も加わり、より複雑な状況にあると言えるでしょう。

しかし、単に外部要因のせいにするのではなく、日産自身の課題にも目を向ける必要があります。2020年に発表された事業構造改革計画「NISSAN NEXT」は、収益性の低い事業からの撤退や固定費削減、そして電動化への注力を掲げていました。今回の業績下方修正は、これらの構造改革の効果が十分に表れていないことを示唆している可能性があります。

特に注目すべきは、電動化戦略の進捗です。日産は、電気自動車(EV)「リーフ」を先駆けて投入し、電動化で先行しましたが、近年は他メーカーの攻勢に押され気味です。アリアのような新型EVの投入は期待されるものの、販売台数や収益への貢献はまだ限定的です。

今後、日産が業績を回復させるためには、以下の点が重要になるでしょう。

  • 構造改革の加速と徹底: 収益性の改善に向けて、コスト削減だけでなく、事業ポートフォリオの見直しや効率化をさらに進める必要があります。
  • 電動化戦略の再構築: EVラインナップの拡充はもちろん、バッテリー技術の開発や充電インフラの整備など、包括的な戦略が求められます。
  • アライアンスの有効活用: ルノーとの新たなパートナーシップを最大限に活用し、シナジー効果を高めることが不可欠です。
  • グローバル市場での競争力強化: 北米や中国などの主要市場で、ブランドイメージの向上と販売ネットワークの強化を図る必要があります。

今回の業績下方修正は、日産にとって大きな試練であると同時に、自己改革を促す好機とも言えるでしょう。厳しい状況を乗り越え、持続的な成長を実現するためには、大胆な変革と戦略的な実行が求められます。今後の日産の動向から目が離せません。