CVTが壊れる原因は何ですか？

CVTが壊れる原因を徹底解説：故障のメカニズムから対策まで

CVT（Continuously Variable Transmission：無段変速機）は、滑らかでシームレスな変速が可能なため、近年多くの車種に採用されています。しかし、従来のAT（オートマチックトランスミッション）と比較して、CVTは構造が複雑で、故障のリスクも潜んでいます。この記事では、CVTが故障する原因を深堀りし、故障のメカニズムから具体的な対策までを解説します。

CVT故障のメカニズム：なぜ壊れるのか？

CVTの故障は、主に以下の要素が複雑に絡み合って発生します。

1. ベルト/チェーンの摩耗・損傷: CVTの核となるベルト/チェーンは、エンジンのパワーをプーリーに伝達する重要な役割を担っています。高負荷な走行や急加速を繰り返すと、ベルト/チェーンには大きなストレスがかかり、摩耗や伸び、最悪の場合は破断につながります。特に、発進時や低速走行時にベルト/チェーンに過大な負担がかかりやすいため、注意が必要です。

2. プーリーの摩耗・損傷: ベルト/チェーンと接するプーリーも、常に摩擦にさらされています。プーリー表面の摩耗や損傷は、ベルト/チェーンのスリップを引き起こし、変速効率の低下や異音の原因となります。また、プーリーの軸受け部分の摩耗も、動作不良を引き起こす可能性があります。

3. CVTフルードの劣化・不足: CVTフルードは、ベルト/チェーンやプーリーの潤滑、冷却、清浄、そして油圧制御という重要な役割を担っています。フルードが劣化すると、潤滑性能が低下し、部品の摩耗を促進します。また、フルード不足は油圧制御の不具合を引き起こし、変速不良や異音の原因となります。最悪の場合、CVT内部の部品が焼き付き、致命的な故障につながることもあります。

4. オイルシールの劣化によるオイル漏れ: CVTフルードは、オイルシールによって密閉されています。オイルシールが経年劣化すると、密閉性が低下し、オイル漏れが発生します。オイル漏れを放置すると、フルード量が不足し、上記３と同様の故障を引き起こす可能性があります。

5. 電子制御系の不具合: 近年のCVTは、電子制御によって変速比を最適化しています。センサーやアクチュエーター、制御ユニットなどの電子部品に不具合が発生すると、変速制御が正常に行われなくなり、変速ショックや変速不能などの症状が現れます。

6. スターティングクラッチの消耗: 一部のCVTには、発進時のトルク伝達をスムーズにするためのスターティングクラッチが搭載されています。このクラッチが消耗すると、発進時のショックが大きくなったり、加速不良が発生したりします。

CVT故障を防ぐための対策：長寿命化の秘訣

CVTの故障は、日々のメンテナンスと適切な運転によって予防できます。

• 定期的なCVTフルード交換: メーカー指定のサイクルで、必ずCVTフルードを交換しましょう。交換時期は、走行距離だけでなく、使用状況によっても異なります。特に、過酷な走行が多い場合は、交換サイクルを早めることをお勧めします。適切なフルードを使用することも重要です。

• 急発進・急加速を避ける: CVTに過度な負荷をかけないように、急発進や急加速は控えましょう。特に、発進時や低速走行時は、ベルト/チェーンに負担がかかりやすいので、丁寧にアクセルを踏み込むように心がけてください。

• 暖機運転の励行: エンジンだけでなく、CVTも暖機運転を行いましょう。特に、冬場などの低温時は、CVTフルードの粘度が高く、潤滑性能が低下しています。暖機運転によって、フルードの温度を上昇させ、潤滑性能を向上させることが重要です。

• 異音や異常を感じたら、すぐに点検: CVTから異音が発生したり、変速ショックが大きくなったり、加速不良を感じたりした場合は、すぐに専門の業者に点検してもらいましょう。早期発見・早期修理が、大きな故障を防ぐための鍵となります。

• CVTクーラーの装着: 特に、サーキット走行や牽引など、CVTに高負荷がかかる状況で使用する場合は、CVTクーラーを装着することで、フルードの温度上昇を抑制し、CVTの寿命を延ばすことができます。

CVTは、適切なメンテナンスと運転によって、長寿命化を図ることができます。日々のメンテナンスを怠らず、快適なカーライフを送りましょう。