T字路で右折車同士が衝突した場合の過失割合は？

T字路における右折車同士の衝突事故、特に過失割合の算定は、一見単純そうに見えて、非常に複雑な問題です。交差点の形状、車両の速度、各車両の進路、そして何より、運転手の状況判断と行動が大きく影響するため、一概に「こうだ」と断言することはできません。 先述の「直線路を走行していた車両（A）40％、突き当たり路を走行していた車両（B）60％」という割合は、あくまで一般的な傾向を示すものであり、個々の事故状況によっては大きく変動します。

まず、事故の発生状況を詳細に分析する必要があります。例えば、交差点の視界は良好でしたか？ 一時停止線はきちんと守られましたか？ どちらの車両が先に交差点に進入しましたか？ ブレーキ痕はありましたか？ これらの情報は、過失割合を決定する上で極めて重要です。 特に、目撃者証言やドライブレコーダーの映像があれば、事故状況の解明に大きく貢献します。

次に、道路交通法における「通行の妨げにならないように」という原則が重要となります。T字路においては、直線道路を走行する車両（A）は優先権を持つと一般的には考えられますが、絶対的な優先権があるわけではありません。 A車が、交差点に進入する前に十分な速度調整や確認を行わず、B車の進入を妨げる形で走行していた場合、A車の過失割合は高くなる可能性があります。 逆に、B車が一時停止を無視したり、十分な確認をせずに交差点に進入した場合、B車の過失割合が大幅に上昇します。

さらに、車両の速度も考慮しなければなりません。A車が法定速度を大幅に超えていた場合、その速度が事故の要因に大きく寄与したと判断されれば、過失割合は高くなります。 同様に、B車がかなりの速度で交差点に進入した場合は、B車の過失割合が高まるでしょう。

また、交差点の形状も重要な要素です。交差点が狭かったり、視界が悪かったりする場合、どちらの車両も注意を払うべきでしたという判断になり、過失割合はほぼ均等になる可能性もあります。 逆に、交差点が広くて視界良好な場合、B車の確認不足が目立つ可能性が高まります。

さらに、運転手の状況も考慮されます。例えば、A車が飲酒運転をしていた場合、過失割合はほぼ100％になる可能性があります。 同様に、B車が携帯電話を操作していたり、居眠り運転をしていた場合も、過失割合が大幅に増加するでしょう。

結論として、T字路での右折車同士の衝突事故における過失割合は、単純な公式で算出できるものではありません。 事故状況、道路状況、運転手の状況など、様々な要素を総合的に判断し、個々のケースに応じて決定されます。 そのため、正確な過失割合を知るためには、警察による事故調査と、場合によっては専門家の意見を聞くことが必要となります。 40％対60％という割合はあくまでも一つの目安であり、必ずしもすべてのケースに当てはまるとは限らないことを、十分に理解しておくべきです。