企業におけるgoing concernとは?

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ゴーイング・コンサーンとは、企業が将来にわたって事業を継続できるという前提のことです。英語ではgoing concernと表記され、「継続企業」とも呼ばれます。財務諸表を作成する上で、重要な基本原則の一つです。

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企業におけるゴーイング・コンサーン:その重要性と破綻の兆候

ゴーイング・コンサーンとは、企業が将来にわたって事業を継続できるという前提のことです。英語では”going concern”と表記され、「継続企業」とも呼ばれます。財務諸表を作成する上で、最も重要な基本原則の一つであり、企業の財務状況や経営成績を正しく理解するために不可欠な概念です。

この前提に基づいて、企業は資産や負債を将来の実現可能な価値で計上します。例えば、固定資産は取得原価から減価償却費を差し引いた帳簿価額で計上されます。これは、企業が将来にわたってこれらの資産を使用し、収益を上げ続けることを前提としているからです。もし、ゴーイング・コンサーンの仮定が成り立たない場合、資産は清算価値で評価されなければならず、財務諸表の数値は大きく変動することになります。

ゴーイング・コンサーンの原則は、投資家や債権者にとって非常に重要な意味を持ちます。彼らは、企業が将来も事業を継続し、利益を上げ続けることを期待して投資や融資を行っています。もし、企業がゴーイング・コンサーンでないと判断された場合、投資や融資の回収が困難になる可能性が高いため、大きなリスクとなります。

では、ゴーイング・コンサーンに疑義が生じるのはどのような場合でしょうか? いくつかの兆候があります。

  • 財務指標の悪化: 継続的な赤字、債務超過、売上高の減少、流動性比率の低下などは、資金繰りが悪化し、事業継続が困難になる可能性を示唆しています。
  • 事業環境の悪化: 市場縮小、競争激化、技術革新の遅れなどは、企業の収益力に悪影響を及ぼし、ゴーイング・コンサーンに疑義を生じさせる可能性があります。
  • 法令違反や訴訟: 重大な法令違反や大型訴訟は、巨額の罰金や賠償金の支払いを招き、企業の財務基盤を揺るがす可能性があります。
  • 主要顧客や取引先の喪失: 主要な顧客や取引先との関係悪化や契約解除は、企業の収益に大きな影響を与え、事業継続を困難にする可能性があります。
  • 内部統制の不備: 不正会計や粉飾決算などは、企業の信頼性を失墜させ、ゴーイング・コンサーンへの疑念を招きます。
  • 後継者不足: 特にオーナー企業において、適切な後継者が不在である場合、事業継続性に大きな不安が生じます。

監査人は、財務諸表監査を行う際に、ゴーイング・コンサーンの仮定が妥当かどうかを評価する責任があります。もし、ゴーイング・コンサーンに重大な疑義があると判断した場合、監査報告書に追記情報を開示する必要があります。この追記情報は、投資家や債権者にとって重要な警告シグナルとなるため、注意深く確認する必要があります。

ゴーイング・コンサーンは、企業の存続を左右する重要な概念です。企業経営者は、常にゴーイング・コンサーンを維持できるよう、健全な財務状況と安定した収益基盤を構築し、事業環境の変化に柔軟に対応していく必要があります。また、投資家や債権者は、企業の財務諸表や監査報告書を注意深く分析し、ゴーイング・コンサーンに関するリスクを適切に評価することが重要です。 企業の将来を予測することは困難ですが、ゴーイング・コンサーンに関する情報を理解することで、より適切な投資判断や与信判断を行うことができるでしょう。