日本一儲かっている路線はどこですか？

日本一「儲かる」路線は本当に山手線？ 多角的な視点から探る鉄道ビジネスの裏側

「日本一儲かっている路線はどこですか？」という問いに対する答えとして、しばしば山手線の名前が挙げられます。年間35億人以上の利用客を誇り、東京都心部を環状に結ぶ山手線は、確かに収益性の高い路線であることは間違いありません。しかし、鉄道の収益構造は単純ではなく、「儲かる」という言葉の定義も多岐にわたるため、山手線が本当に「日本一」なのか、多角的な視点から掘り下げて考えてみましょう。

「儲かる」の定義を明確にする

まず、「儲かる」という言葉をどのように定義するかが重要です。単純な「売上高」で見るのか、経費を差し引いた「営業利益」で見るのか、それとも投資効率なども考慮した「利益率」で見るのかによって、答えは大きく変わってきます。

• 売上高： 利用者数に運賃を掛け合わせた単純な収入です。山手線は圧倒的な利用者数を誇るため、売上高は非常に高いと考えられます。
• 営業利益： 売上高から、運行コスト、人件費、設備の維持費などを差し引いた利益です。山手線は、運行本数が多く、駅数も多いため、コストも高くなりがちです。そのため、売上高ほどの圧倒的な営業利益を誇っているとは限りません。
• 利益率： 投資した資本に対してどれだけの利益を上げているかを示す指標です。山手線は、建設費用や維持費に巨額の投資が必要なため、必ずしも利益率が高いとは言えません。

山手線以外の有力候補

実は、売上高以外にも、営業利益や利益率という視点で見ると、山手線以外にも「儲かる」路線が存在する可能性は十分にあります。

• 新幹線： 東海道新幹線をはじめとする新幹線は、高額な運賃と安定した利用客数によって、高い収益を上げています。特に東海道新幹線は、日本の大動脈として、ビジネス利用や観光利用など、様々な需要に応えており、営業利益率が高いと考えられます。
• 都市部の私鉄： 大手私鉄は、鉄道事業だけでなく、不動産事業や流通事業など、多角的な経営を行っています。鉄道事業で得た利益を他の事業に投資したり、駅周辺の開発によって収益を上げたりすることで、全体的な企業としての収益性を高めています。
• 特定の観光路線： 一部の観光路線は、特別な観光列車を運行したり、沿線の観光地と連携したりすることで、高付加価値なサービスを提供し、高い収益を上げています。

鉄道ビジネスの複雑さ

鉄道ビジネスは、単なる輸送サービスを提供するだけでなく、地域の活性化や都市開発にも深く関わっています。そのため、鉄道事業者の収益構造は非常に複雑であり、「儲かる」という言葉を単純に定義することはできません。

山手線は、日本の鉄道を代表する路線であり、高い収益を上げていることは間違いありません。しかし、「日本一」かどうかは、どのような視点から見るかによって異なります。

まとめ

山手線は、圧倒的な利用者数を誇り、東京都心部を結ぶ重要な路線として、日本の鉄道ビジネスにおいて重要な役割を果たしています。しかし、「儲かる」という言葉の定義や、鉄道ビジネスの複雑さを考慮すると、山手線が本当に「日本一」なのか、断定することは難しいと言えるでしょう。

今後、鉄道事業者は、少子高齢化や人口減少といった社会的な課題に対応するため、より効率的な運行や新たなサービスの開発に取り組む必要があります。その過程で、どのような路線が「儲かる」路線として台頭してくるのか、注目していく必要があります。