資産保有額「1億円以上」保有している人は日本にどれくらいいる？

資産1億円超えの日本人、その実像と「見えない格差」

「資産1億円以上」と聞くと、誰もが羨む成功者のイメージを抱くかもしれません。しかし、日本の世帯において資産1億円超えの富裕層は、全体のわずか2.7%程度に過ぎません。この数字は、一見すると富裕層の希少性を示す一方で、私たちが普段意識することの少ない「見えない格差」の存在を浮き彫りにします。

2. 7%という数字は、単純に考えれば100世帯に3世帯弱が該当します。しかし、この数字はあくまで「資産」の総額であり、その内訳は様々です。不動産、株式、預金、投資信託など、資産の種類によってリスクや流動性が大きく異なります。例えば、都心の一等地にある不動産を保有している場合は、高額な資産としてカウントされますが、その不動産を換金しなければ生活費に充てることはできません。一方、預金や株式であれば、比較的容易に現金化できます。

さらに、1億円という金額も、その使い道によって価値が変わります。都心に住む家族と地方に住む家族では、生活費や教育費が大きく異なります。また、高齢者であれば医療費や介護費用なども考慮する必要があります。つまり、1億円という資産は、その人のライフスタイルや家族構成、住む場所によって、全く異なる意味を持つ可能性があるのです。

注目すべきは、資産1億円超えの層が、どのようにしてその資産を築き上げたのかという点です。親からの相続、不動産価格の高騰、起業による成功、株式投資など、その経路は多岐にわたります。近年では、インターネットやSNSを活用した情報収集や投資活動が容易になり、比較的若い世代でも資産を築きやすくなっています。しかし、情報格差や初期投資の差など、参入障壁が存在することも否定できません。

また、資産1億円超えの層は、その資産を守り、さらに増やすための専門的な知識やスキルを持っていることが多いです。税金対策、資産運用、相続対策など、専門家のサポートを受けながら、効率的に資産を管理しています。これらの情報は、一般の人々にはなかなか届きにくく、富裕層とそれ以外の層との情報格差が、さらなる資産格差を生み出す要因となっていると言えるでしょう。

資産1億円超えという数字は、単なる統計データではなく、日本の経済構造や社会構造を反映した指標です。この数字を理解することで、私たちが普段意識することの少ない「見えない格差」の存在に気づき、より公平で公正な社会の実現に向けて、議論を深めていく必要性があるのではないでしょうか。