1000万円以上の現金を貯めている人の割合は?

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金融広報中央委員会の調査(令和2年)によると、1,000万円以上の金融資産を持つ世帯は全体の約28%です。年代別に見ると、年齢が上がるにつれて貯蓄額が増える傾向が確認されています。つまり、約3割弱の世帯が1,000万円以上の資産を保有していることになります。

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1000万円以上の現金貯蓄を持つ人は、本当に3割いるのか? 現実と統計のギャップ

金融広報中央委員会の調査によると、1000万円以上の金融資産を持つ世帯は約28%に上ると言われています。この数字を聞くと、「意外と多いな」と感じる人もいるかもしれません。しかし、この統計データの裏側には、いくつかの重要な視点が隠されています。単に「1000万円以上の金融資産を持つ世帯が28%」という事実だけで、日本の家計の実態を正しく理解できているとは言えないのです。

まず、重要なのは「金融資産」という定義です。金融資産には、預貯金、株式、投資信託、保険などが含まれます。1000万円以上の資産を持っていると言っても、それが全て現金で貯蓄されているとは限りません。株式や不動産に投資している世帯も含まれているため、実際に手元に1000万円以上の現金を持っている世帯の割合は、この28%よりもはるかに低いと推測できます。

さらに、この統計は「世帯」を単位としています。共働きの世帯や高齢夫婦世帯では、比較的大きな金融資産を持つ可能性が高いため、平均値を押し上げている可能性があります。一方、単身世帯や若い世代では、1000万円以上の金融資産を持つ割合は、この平均値よりもかなり低くなるでしょう。つまり、この28%という数字は、世帯ごとの資産格差を隠蔽している可能性があるのです。

また、調査対象や調査方法によっても結果が大きく変動する可能性があります。金融広報中央委員会の調査は、全国の世帯を対象とした大規模な調査ですが、調査票の回収率や回答の正確性といった問題も無視できません。回答者の属性やバイアスが、結果に影響を与えている可能性も考慮する必要があります。

さらに、この統計は「保有している」という点に焦点を当てています。「保有している」とは、一時的に1000万円を超えている状態も含む可能性があります。例えば、住宅購入のための頭金として一時的にまとまった資金を預金していたり、相続などで一時的に資産が増加していたりする世帯も含まれる可能性があるのです。こうした一時的な保有は、恒常的な貯蓄とは異なるため、1000万円以上の現金貯蓄を「常時」保有している世帯の割合は、さらに低くなるでしょう。

では、1000万円以上の現金貯蓄を常時保有している世帯の割合は、どれくらいなのでしょうか? 残念ながら、この数字を正確に示す統計データは存在しません。推測の域を出ませんが、金融資産の全体像と、生活実態を考慮すると、その割合は28%よりもはるかに少なく、おそらく一桁パーセント台ではないかと考えられます。

結論として、1000万円以上の金融資産を持つ世帯が28%という数字は、日本の家計状況の一側面を示しているに過ぎません。この数字を鵜呑みにするのではなく、その背景にある様々な要因を理解し、より多角的な視点から家計の実態を捉えることが重要です。単なる数字の羅列ではなく、その数字の持つ意味を深く理解することが、真の経済リテラシーにつながるでしょう。 そして、個々の世帯の状況は多様であることを忘れてはなりません。