500円玉のデザインは旧500円玉とデザインが違いますか?

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新しい500円玉は、単一金属だった旧500円玉とは異なり、3層構造になっています。偽造防止性能と耐久性が向上しており、重量は7.1グラムとわずかに増加しました。

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500円玉の変遷:ニッケル黄銅からバイカラー・クラッドへ

日本で最も高額な硬貨、500円玉。財布の中で存在感を放つこの硬貨は、実は時代と共にその姿を変えてきました。現在流通している500円玉は、かつての500円玉とはデザインだけでなく、素材や構造にも大きな違いがあります。単なる額面表示の変更ではなく、高度な技術を駆使した進化を遂げているのです。

旧500円玉は、1982年から2000年まで発行されていました。素材はニッケル黄銅という単一金属で、色は均一な金色でした。表面には桐、裏面には竹のデザインが施され、シンプルながらも風格のある佇まいでした。

しかし、高度化する偽造技術への対策、そしてより長く使える耐久性の向上が求められ、2000年から新しい500円玉が導入されました。この新500円玉こそ、現在私たちが目にしているものです。

最も大きな変化は、素材と構造です。ニッケル黄銅から、ニッケル黄銅と白銅、そして銅の3層構造(バイカラー・クラッド)へと変更されました。これにより、外側は銀色、内側は金色という2色の美しいデザインが実現しました。まるでコインの中に別のコインが埋め込まれているかのような、独特の外観が特徴です。

このバイカラー・クラッド構造は、偽造防止に大きく貢献しています。3層の金属を正確に重ね合わせる技術は高度であり、容易に複製することはできません。また、硬貨の縁には、微細な斜めギザに加え、「◆」模様が等間隔に刻印されています。これは「潜像模様」と呼ばれ、見る角度によって「500YEN」の文字が浮かび上がります。これらの精巧な加工技術は、偽造を困難にするだけでなく、500円玉の美しさも際立たせています。

さらに、素材の変化に伴い、硬貨の重量もわずかに増加しました。旧500円玉は7グラムでしたが、新500円玉は7.1グラムとなっています。このわずかな重量差は、自動販売機などで新旧500円玉を識別するのに役立っています。

デザインにも細かな変更が加えられています。桐と竹のデザインは踏襲されていますが、葉脈や幹の表現がより精緻になり、立体感が増しています。また、「日本国」と「500円」の文字の書体も変更され、より現代的な印象になっています。さらに、偽造防止のため、文字の周囲には微細な線状の模様が施されています。

このように、新しい500円玉は、旧500円玉から大きく進化しています。素材、構造、デザイン、そして重量に至るまで、様々な改良が加えられ、偽造防止性能と耐久性が向上しました。単なる通貨としての機能だけでなく、高度な技術と洗練されたデザインが融合した、日本のものづくりを象徴する存在と言えるでしょう。私たちが日常的に使用している500円玉には、このような技術と工夫が凝縮されているのです。次に500円玉を手にした際には、その精巧な作りと美しいデザインに改めて目を向けてみてはいかがでしょうか。