新幹線の名前「のぞみ」はどうやって決まったのですか?

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東海道新幹線の「のぞみ」という名前は、一般公募ではなく選考委員会によって決定されました。最終候補には「きぼう」や「つばめ」がありましたが、作家の阿川佐和子さんの発言がきっかけとなり、「きぼう」の古風な言い方である「のぞみ」に決定しました。

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新幹線「のぞみ」の名前の由来は、意外と知られていないかもしれません。多くの人が一般公募で選ばれたと思っているかもしれませんが、実は違います。今回は「のぞみ」という名前がどのようにして誕生したのか、その背景や選考過程、そして込められた想いを紐解いていきます。

1992年、東海道新幹線に新たな速達タイプの列車が登場することになりました。この列車は、それまでの「ひかり」よりもさらに速く、東京と新大阪間を短時間で結ぶ、まさに日本の未来を象徴する存在となる予定でした。そのため、その名にも大きな期待が寄せられました。

名前の選定は、国鉄(当時)内部の選考委員会によって行われました。委員会は様々な候補を検討し、最終的に「きぼう」「つばめ」「のぞみ」の3つに絞り込みました。「きぼう」は未来への希望、「つばめ」はスピード感と親しみやすさ、「のぞみ」は実現への強い意志をそれぞれ表していました。

どの名前も魅力的であり、委員会内でも意見が割れていました。そんな中、決定打となったのは、当時選考委員の一人であった作家の阿川佐和子さんの発言でした。彼女は「きぼう」という言葉は現代において少し古風で堅苦しい印象を与えると指摘し、「きぼう」の古語である「のぞみ」の方が、より力強く、そして未来への期待感を表現できると提案しました。

「のぞみ」という言葉は、「きぼう」よりもより切実で、実現への強い意志が込められています。それはまさに、当時の日本が抱いていた、未来への強い願いと一致していました。バブル経済崩壊後の不安定な社会情勢の中、人々は明るい未来への希望を強く求めていました。新幹線という最先端技術の結晶に「のぞみ」と名付けることで、未来への希望と実現への強い意志を象徴し、人々に勇気を与えたいという想いが込められていたのです。

阿川さんの提案は委員会内で大きな反響を呼び、最終的に「のぞみ」が満場一致で選ばれました。こうして、日本の未来を担う新幹線は「のぞみ」という力強い名前を得て、走り出すことになったのです。

「のぞみ」という名前には、単なる速達列車という意味以上の、深い意味が込められています。それは、未来への希望、実現への強い意志、そして日本の発展への願いです。私たちは「のぞみ」に乗るたびに、この名前に込められた先人たちの想いを改めて感じ、未来への希望を胸に抱くことができるのではないでしょうか。

現在、「のぞみ」は東海道・山陽新幹線を代表する列車として、多くの人々に利用されています。その速達性と快適性は、日本の新幹線技術の象徴と言えるでしょう。そして、「のぞみ」という名前は、これからも未来への希望を乗せて、走り続けていくことでしょう。

「のぞみ」という名前が誕生した背景には、様々な人々の想いと議論がありました。その過程を知ることで、「のぞみ」という名前に込められた深い意味をより理解し、新幹線に乗るたびに新たな感動を覚えることができるのではないでしょうか。そして、私たちも未来への「のぞみ」を胸に、日々を力強く生きていきたいものです。