タンス預金はいくらまでなら違法ではない？

タンス預金はいくらまでなら違法ではない？という問いに対する明確な金額制限はありません。 違法となるか否かは、預金金額そのものではなく、その金額の発生源と使途、そして税務申告との関係によって判断されます。 つまり、100万円以下のタンス預金であっても違法となるケースがあり、逆に、100万円を超えるタンス預金であっても違法とならないケースもあるのです。

記事冒頭の「銀行預金の過去10年分が調査対象。100万円以上の高額出金がある場合、タンス預金の疑いが強まる」という記述は、税務調査における一つの指標に過ぎません。 税務調査官は、多額の現金の取引を把握することで、脱税の疑いを探るため、銀行取引の履歴を詳細に調べます。100万円以上の高額出金があれば、その資金の出所を明らかにするよう求められる可能性が高まります。しかし、この金額が絶対的な基準ではなく、個々の事情によって大きく変わってくる点に注意が必要です。

例えば、遺産相続によって多額の現金を受け取った場合、その資金の出所を明確に説明できれば、タンス預金とみなされることはありません。同様に、事業売却や不動産売却によって得た利益を、税務申告を適切に行った上で現金で保有している場合も、違法とは言えません。 重要なのは、資金の出所が明確で、その金額に見合う適切な税務申告が行われているかどうかです。

逆に、脱税目的で所得を隠蔽し、現金で保有している場合は、金額に関わらず違法行為となります。 例えば、アルバイト代を申告せずに現金で受け取り、それを貯蓄している場合、たとえ金額が少なくても、脱税として処罰される可能性があります。 また、闇商売や違法な賭博など、違法行為によって得た資金をタンス預金として保有している場合も、当然違法です。

税務調査においては、現金取引の記録がないこと、不自然な高額取引、申告内容との不一致などが、タンス預金の疑いを強める要因となります。 仮に、100万円を超える現金の出入りの説明ができない場合、税務調査官は、その資金の出所を詳細に調査し、脱税の有無を判断します。 その結果、脱税が認められれば、脱税額に対する税金に加え、加算税や延滞税などのペナルティが科せられます。さらに、悪質な場合は刑事罰が科されることもあります。

結論として、タンス預金が違法となるか否かは、金額ではなく、その資金の出所と使途、そして税務申告との整合性によって決定されます。 多額の現金の保有は、税務調査の対象となる可能性が高まるため、税務申告を正確に行い、資金の出所を明確に説明できるよう、日頃からきちんと記録を保管しておくことが重要です。 不安がある場合は、税理士などの専門家に相談することも有効な手段です。 税務に関する知識を深め、合法的な範囲内で資産を管理することが、何よりも重要なのです。