世界で最も価値の高いお札は？

史上最も価値の高い紙幣：ハンガリーの10垓ペンゴ

第二次世界大戦後のハンガリーでは、極端なインフレが猛威を振るい、経済が混乱に陥りました。この危機に対応するため、政府は史上最高額の紙幣である10垓ペンゴ紙幣の発行を計画しました。

10垓ペンゴ紙幣の発行計画

10垓ペンゴ紙幣は、10の20乗に相当する天文学的な金額で、その価値は当時のハンガリー通貨の10億倍以上でした。政府はこの巨額紙幣を発行することで、膨大な通貨を市場から回収し、インフレの抑制を図ろうとしました。

計画の頓挫

しかし、10垓ペンゴ紙幣の発行計画は、インフレのさらなる加速により頓挫しました。紙幣の印刷が始まる前に、その価値はすでにほぼ無価値となっていました。政府は計画を撤回せざるを得なくなり、10垓ペンゴ紙幣は実際に流通することはありませんでした。

現在における価値

10垓ペンゴ紙幣は、流通しなかったにもかかわらず、その歴史的価値と希少性から、世界で最も価値のある紙幣として認識されています。一部の紙幣は収集家に保存されており、オークションでは非常に高額で取引されています。

2021年、1枚の10垓ペンゴ紙幣が、ハンガリーのオークションハウスで約300万ドル（約3億2,000万円）で落札されました。これは、紙幣史上における史上最高額の落札価格の1つです。

結論

ハンガリーの10垓ペンゴ紙幣は、極端なインフレの時代における異常な紙幣です。その価値の高さは、歴史的背景と希少性によるもので、コレクターの間で高い需要があります。この紙幣は、通貨の価値がいかに急速に崩壊し得るか、そしてインフレが経済にもたらす壊滅的な影響を物語っています。