日本のお金はどこで作っているのですか?

0 ビュー

日本の紙幣は、財務大臣の指示のもと、日本銀行の発注を受けて国立印刷局が製造しています。年間約30億枚もの紙幣が製造され、その厚さは一枚あたり約0.1mm。30億枚を積み重ねると、富士山の約80倍の高さに相当する約300kmにもなります。

コメント 0 好き

日本のお金はどこで作られているのか?~知られざる製造の舞台裏

普段何気なく使っている日本のお金、特に紙幣は一体どこで、どのように作られているのでしょうか?その答えは、財務大臣の指示のもと、日本銀行の発注を受けて製造を行う「国立印刷局」という組織です。

国立印刷局は、日本銀行券(紙幣)だけでなく、切手、収入印紙、パスポートなど、高度な偽造防止技術を必要とする印刷物を製造する、国の重要な機関です。その歴史は古く、明治時代初期に設立された「紙幣寮」にまで遡ります。

紙幣の製造は、極めて厳重なセキュリティ体制の下で行われます。製造過程は、原版の作成から印刷、裁断、検査、そして最終的な包装まで、多岐にわたります。これらの工程全てにおいて、高度な技術と厳格な品質管理が求められます。

まず、紙幣の原版は、熟練した彫刻師によって手作業で彫られます。この原版は、紙幣の図柄の元となるもので、非常に繊細で精巧な技術が駆使されています。この原版をもとに、印刷用の版が作成されます。

印刷には、特殊なインクや印刷技術が用いられます。紙幣独特のインクは、光の角度によって色が変わる特殊なものや、紫外線に反応して発光するものなど、偽造防止のために様々な工夫が凝らされています。また、紙幣には、マイクロ文字や潜像など、肉眼では確認しにくい偽造防止技術も組み込まれています。

印刷された紙幣は、厳格な検査を受けます。わずかなインクの滲みや、印刷のズレも見逃されません。基準を満たした紙幣だけが、裁断されて流通する資格を得ます。

さて、冒頭で触れられたように、国立印刷局では年間約30億枚もの紙幣が製造されています。その厚さは一枚あたり約0.1mm。30億枚を積み重ねると、富士山の約80倍の高さ、約300kmにもなります。これは、東京から大阪までを優に超える距離です。

しかし、国立印刷局の役割は、単に紙幣を印刷するだけではありません。偽造防止技術の研究開発にも力を注いでいます。近年、高度化する偽造技術に対抗するため、常に最新の技術を取り入れ、紙幣の信頼性を維持しています。

私たちが普段手にしている紙幣は、国立印刷局の技術者たちのたゆまぬ努力と、徹底した品質管理によって支えられているのです。次回、紙幣を手にした際には、その精巧な技術と、隠された偽造防止技術に目を向けてみてはいかがでしょうか。きっと、これまでとは違った感慨を覚えることでしょう。そして、国立印刷局という組織が、私たちの生活を安全に、そして円滑に支えていることを思い出してください。