行政書士はどこまでやってくれるの？

行政書士はどこまでやってくれるの？ 「街の法律家」と称される行政書士ですが、その業務範囲は意外と広く、そして奥深いものです。 一見すると単純な手続きに見えるものから、専門知識を要する複雑なものまで、行政書士は私たちの生活を様々な面で支えています。しかし、「どこまで」やってくれるのか、その境界線は明確でないように感じる方もいるかもしれません。そこで、本稿では行政書士の業務範囲を具体例を交えながら、分かりやすく解説します。

まず、誤解されやすい点として、行政書士は弁護士や司法書士のような「法律の専門家」ではありません。彼らは法律に基づいた書類の作成や手続きの代行を行う「事務の専門家」です。 法律の解釈や裁判における代理行為は行えませんが、法律に則った正確な書類作成と、官公署とのスムーズなやり取りをサポートすることで、依頼者の負担を大幅に軽減します。

では、具体的にどのような業務を行っているのでしょうか。代表的な業務としては、以下のようなものが挙げられます。

1. 許認可申請関連: これは行政書士の主要な業務の一つです。飲食店や美容室の開業許可、建設業の許可、宅地建物取引業の免許など、様々な事業を始める際に必要な許認可申請の手続きを代行します。複雑な様式や提出書類、手続きの流れを熟知しているため、申請がスムーズに進み、許可取得までの期間短縮にも繋がります。 単に書類を提出するだけでなく、事前に必要な書類が揃っているかチェックし、不備があれば修正アドバイスも行います。

2. 各種届出・申請関連: 会社設立や法人登記、相続に関する各種届出、各種変更届など、官公署への届け出や申請業務も幅広く扱います。 特に相続手続きは複雑で、専門知識がなければ戸惑うことも多いですが、行政書士は遺産分割協議書の作成から相続税申告書の作成まで、必要な手続きをサポートします。

3. その他書類作成関連: 契約書作成、内容証明郵便の作成、各種証明書の申請など、日常生活における様々な書類作成を代行します。 特に、内容証明郵便は証拠能力を有するため、法的紛争に備える上でも重要です。 行政書士は、依頼者の意図を正確に反映した、法的にも問題のない書類を作成します。

4. 相談業務: 行政書士は、書類作成や手続きに関する相談にも乗ってくれます。 どの手続きが必要なのか、どのような書類を用意する必要があるのかなど、不安な点を解消し、的確なアドバイスを提供します。

しかし、行政書士が「やってくれない」業務もあります。例えば、裁判での代理活動、法律相談（法律の解釈やアドバイス）、税理士業務（税務申告）などは、それぞれの専門家である弁護士、税理士に依頼する必要があります。

行政書士の業務範囲は、法律によって明確に規定されています。 依頼する際には、依頼内容が行政書士の業務範囲内にあるかを確認することが重要です。 不明な点は、直接行政書士に相談し、業務内容や費用について十分に確認しましょう。 信頼できる行政書士を選ぶことで、スムーズで安心な手続きを進めることができるでしょう。 「街の法律家」という言葉に惑わされることなく、その専門性を正しく理解し、賢く活用することが大切です。