ラ・ラ・ランドの元ネタは?

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「ラ・ラ・ランド」の楽曲群は、ジャック・ドゥミ監督のミュージカル映画「ロシュフォールの恋人たち」から多大な影響を受けています。特に劇中で重要な役割を担う楽曲は、同作の「シモンの歌(イヴォンヌの歌)」を彷彿とさせ、失恋の切なさを表現する点で共通性が見られます。「ラ・ラ・ランド」の世界観構築に、「ロシュフォールの恋人たち」の音楽が深く関わっていると言えるでしょう。

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ラ・ラ・ランドの元ネタ:ロシュフォールの恋人たちだけじゃない!多様な影響を探る

映画「ラ・ラ・ランド」は、現代版ハリウッドミュージカルとして大ヒットを記録し、そのノスタルジックな雰囲気と美しい音楽は多くの観客を魅了しました。監督のデイミアン・チャゼルは、影響を受けた作品としてジャック・ドゥミ監督の「ロシュフォールの恋人たち」を挙げており、特に音楽的な類似性はよく指摘されます。確かに、色彩豊かな映像美や、劇中で重要な役割を果たす楽曲の構成など、両作品には共通点が見られます。しかし、「ラ・ラ・ランド」の魅力は、単一の映画からの影響だけで説明できるほど単純ではありません。チャゼル監督自身、様々なミュージカル映画やジャズ音楽からインスピレーションを得たと語っており、より深く掘り下げて考察する必要があります。

まず、「ロシュフォールの恋人たち」との関連性について見てみましょう。前述のように、楽曲構成や色彩豊かな映像美は共通点として挙げられます。「シモンの歌(イヴォンヌの歌)」と「ラ・ラ・ランド」の特定の楽曲の類似性も指摘されますが、これは直接的なオマージュというよりは、フレンチ・ミュージカル特有のロマンティックで切ないメロディーラインへの共感と言えるでしょう。また、運命的な出会い、すれ違い、そして夢と現実の狭間で揺れ動く登場人物たちの姿も、両作品に共通するテーマです。

しかし、「ラ・ラ・ランド」は「ロシュフォールの恋人たち」の単なる模倣ではありません。チャゼル監督は、ハリウッド黄金期のミュージカル映画からも大きな影響を受けています。「雨に唄えば」や「バンド・ワゴン」といった作品に見られる、歌とダンスで物語を推進していくスタイル、そして夢を追い求める若者たちの情熱的な姿は、「ラ・ラ・ランド」にも色濃く反映されています。特に、「バンド・ワゴン」のオープニングシーンと「ラ・ラ・ランド」の高速道路でのオープニングシーンは、構成やカメラワークに類似点が見られ、チャゼル監督のオマージュを感じさせます。

さらに、チャゼル監督はジャズ音楽への深い愛情も公言しており、それが「ラ・ラ・ランド」の音楽にも大きく影響しています。劇中では、クラシックなジャズから現代的なジャズまで、様々なスタイルの音楽が使用されており、主人公セバスチャンのジャズへの情熱が物語の重要な要素となっています。特に、セバスチャンが理想とするジャズクラブの雰囲気は、往年のジャズクラブへの憧憬が込められており、チャゼル監督自身のジャズへの愛が投影されていると言えるでしょう。

このように、「ラ・ラ・ランド」は「ロシュフォールの恋人たち」をはじめとするフレンチ・ミュージカル、ハリウッド黄金期のミュージカル、そしてジャズ音楽など、多様な源泉からインスピレーションを得て生まれた作品です。それらの要素が絶妙に融合し、現代的な感性で再構築されることで、独自の輝きを放つ作品へと昇華しています。単一の「元ネタ」を探すのではなく、様々な影響を紐解くことで、「ラ・ラ・ランド」の魅力をより深く理解することができるのではないでしょうか。