お正月のお箸は洗わないのですか?

1 ビュー

お正月のお祝い箸は、基本的に使い終わったら手洗いし、専用の箸袋に入れて保管します。松の内(1月7日まで)または三が日(1月3日まで)の間、繰り返し使うのが一般的です。ただし、地域によっては洗わずに数日間使い続ける習慣も存在します。

コメント 0 好き

お正月のお箸、洗わないの?――古き良き習慣と現代の衛生観念の狭間で

お正月。一年で一番華やかな祝祭の時期です。家族や親戚が集まり、美味しい料理を囲んで楽しい時間を過ごします。その席には欠かせないのが、お祝い箸。紅白の縁起の良い箸や、めでたい柄が描かれた箸など、特別な箸を使うことで、お祝いの気分が一層高まります。

しかし、お正月のお箸に関して、古くから伝わる独特の習慣があります。それは、お箸を洗わずに、数日間使い続けるというものです。この習慣は、現代の衛生観念からすると、少し抵抗を感じる人もいるかもしれません。一体なぜ、お正月のお箸は洗わないという風習が残っているのでしょうか?そして、現代においてはどのように対応するのが適切なのでしょうか?

この習慣のルーツは、神聖な時間における「穢れ」の概念に関連していると考えられます。お正月は神様を迎える神聖な期間であり、お箸を介して神様の恵みを受け取ると考えられていました。そのため、お箸を洗うことで、その神聖な恵みを洗い流してしまう、という考えがあったのです。洗わずに使い続けることで、神様の恵みを継続的に享受できると信じられていたのです。これは、お正月飾りを松の内まで下げておく習慣と通じるものがあります。

また、古くは、頻繁に箸を洗うための清潔な水や洗剤が容易に手に入らなかったという現実的な側面も無視できません。水汲みが大変な時代においては、お箸を洗わずに使い回しすることで、労力を節約できたという側面も考えられます。

しかし、現代においては、衛生面を考慮することが非常に重要です。いくら神聖な期間とはいえ、使用済みの箸を数日間使い続けることは、食中毒のリスクを高める可能性があります。特に、気温が高くなる時期のお正月であれば、細菌の繁殖が懸念されます。

そこで、現代における適切な対応としては、お正月のお箸を使い終わったら、丁寧に手洗いし、専用の箸袋に入れて保管するのが良いでしょう。松の内(1月7日)または三が日(1月3日)の間、繰り返し使用するとしても、清潔さを保つことが大切です。箸袋を使用することで、他の食器と混ざったり、汚れたりすることを防ぎ、衛生的に保管できます。

地域によっては、洗わずに使う習慣が根強く残っている場所もあるでしょう。そのような場合は、家族や親戚とよく話し合い、それぞれの考え方を尊重しながら、衛生面を考慮した上で、適切な方法を選択することが重要です。

最終的には、お正月のお箸に関する習慣は、古くからの伝統と現代の衛生観念のバランスを考慮しながら、個々の家庭や地域で判断していくべきでしょう。大切なのは、お正月を楽しく、そして安全に過ごすことです。美味しい料理をいただきながら、家族や親戚と温かい時間を過ごす。その時間こそが、お正月の真髄なのです。 お箸の扱い一つとっても、時代と共に変化していく習慣と、伝統を重んじる気持ちの両方を大切に、新年を迎えたいものです。