ベトナムのパクチーとは?

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ベトナム料理においてパクチーは、独特の香りと風味を持つ必須ハーブです。生春巻きやフォーなどの定番料理に欠かせない存在で、その爽やかな香りは料理にアクセントを与えます。好き嫌いが分かれるものの、本場のベトナムでは、生のままたっぷり使われ、その風味を存分に楽しむ文化が根付いています。 独特の香りは、料理に深みと複雑さを加える重要な要素と言えるでしょう。

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ベトナムのパクチー:単なる添え物ではない、文化を映す鏡

ベトナム料理を語る上で欠かせない存在、パクチー。日本では「コリアンダー」の名で知られ、独特の香りが苦手な人も多いですが、ベトナムでは単なる添え物ではなく、料理に欠かせない、そして文化を反映する重要な要素として根付いています。

ベトナム語では「rau thơm(ラウ・トム)」と呼ばれ、これは「香りの良い野菜」という意味。実に様々な種類のrau thơmが存在しますが、特に日本で「パクチー」として認識されているのは「ngò rí(ゴー・リー)」と呼ばれる種類のコリアンダーです。しかし、ベトナムではこれだけでなく、葉の形や香りが異なる様々なコリアンダーが日常的に使われています。

ベトナムにおけるパクチーの使われ方は、日本のイメージとは大きく異なります。例えば、フォーや生春巻きなどの定番料理には、添え物として少量添えられるだけでなく、皿いっぱいのパクチーがどさっと供されることも珍しくありません。これは、パクチーを「風味付け」としてだけでなく、「食材」として捉えていることを示しています。

生のまま大胆に使うのがベトナム流。その理由は、パクチーが持つ独特の香りが、料理全体の味を複雑にし、奥行きを与えるからです。特に、魚介類や肉料理の臭みを消し、爽やかな風味を加える効果は絶大です。また、パクチーには消化を助ける効果もあると言われており、脂っこい料理との相性も抜群です。

さらに、ベトナムのパクチー文化は、その土地の気候や食文化と密接に結びついています。高温多湿な気候で育つパクチーは、生命力にあふれ、その鮮烈な香りは、ベトナムの人々の活力を象徴しているかのようです。また、ベトナム料理は、様々なハーブやスパイスを組み合わせることで複雑な味わいを生み出すのが特徴ですが、パクチーはその中でも重要な役割を担っています。

パクチーが苦手な人にとって、ベトナム料理は抵抗があるかもしれません。しかし、本場のベトナムでパクチーを味わってみると、その魅力に気づかされるはずです。単なる添え物ではない、ベトナムの食文化、そして人々の生活に根ざしたパクチーの存在は、まさにベトナムの味を象徴する鏡と言えるでしょう。次回ベトナム料理を食べる際には、ぜひ、パクチーの奥深い世界に触れてみてください。