回転寿司の大手3社は？

回転寿司業界を席巻するトップ3：寡占構造と今後の展望

日本の外食産業において、近年著しい成長を遂げているのが回転寿司業界だ。その中でも、圧倒的な存在感を示しているのがスシロー、くら寿司、はま寿司の3社である。この3社は、市場を寡占状態にしているだけでなく、それぞれの独自戦略によって業界を牽引し、消費者の嗜好を常に捉えようとしている。本稿では、この3社の現状と、今後の展望について詳細に考察する。

2023～24年度の売上高を見ると、その圧倒的な規模が明らかとなる。スシローが3017億円とトップを走り、くら寿司が2114億円、はま寿司が1971億円と続く。これらの3社だけで市場全体の約75%を占めており、まさに回転寿司業界の三強と言えるだろう。この寡占状態は、長年にわたるブランド力と、顧客獲得のための積極的な戦略が奏功した結果と言える。

しかし、売上高だけで比較することは、業界全体の理解には不十分である。各社の強み、戦略の違いに着目することで、より深い洞察を得ることができる。

スシローは、価格競争力とメニューの豊富さを武器に、幅広い層の顧客を獲得している。特に、季節限定メニューや地域限定メニューの投入は、リピーター獲得に効果を発揮している。また、積極的な店舗展開も成長を支える大きな柱となっている。しかし、近年は食中毒問題などのネガティブなニュースも発生しており、ブランドイメージの維持、向上に注力する必要があるだろう。

くら寿司は、回転寿司業界において「デジタル化」を積極的に推進してきた企業として知られる。タッチパネルによる注文システムや、独自開発の「無添くら寿司」というブランド戦略によって、衛生面への意識が高い顧客層を取り込んでいる。さらに、アプリを活用したポイントシステムや、エンターテインメント性の高い取り組みなども、顧客満足度の向上に貢献している。 しかし、価格帯はやや高めであるため、価格に敏感な顧客層へのアプローチが今後の課題となる可能性がある。

はま寿司は、価格競争力を武器に、ファミリー層を中心に支持を集めている。100円寿司を軸とした価格戦略は、家計への負担を抑えたい消費者に強く訴求力を持つ。また、独自のサイドメニューやキャンペーンなども効果的に活用することで、顧客の購買意欲を高めている。ただし、他の2社と比較して、ブランドイメージの確立や差別化戦略の強化が今後の課題と言えるだろう。

これらの3社は、市場の成長とともに競争も激化している。今後、さらなる成長を遂げるためには、既存顧客の維持はもちろんのこと、新たな顧客層の開拓、新たなサービスや商品の開発、そして持続可能な経営体制の構築が不可欠となる。 例えば、SDGsへの取り組みや、食の安全に対する取り組みの強化、テクノロジーの活用による効率化など、多角的な戦略が必要となるだろう。

さらに、今後注目されるのは、新たな競合の出現や、消費者の嗜好の変化への対応である。価格競争だけでなく、高付加価値化への取り組み、個性的なブランドイメージの構築が、今後の回転寿司業界における競争優位性を決定づける重要な要素となるだろう。 3社の今後の戦略、そして業界全体の動向から目が離せない。