2024年の味覚トレンドは？

2024年の味覚トレンド：懐かしさと冒険、そして「うまみ」の深化

2024年の食卓を彩る味覚トレンドは、二つの相反するベクトル、「懐かしさ」と「冒険」の融合、そして「うまみ」への探求がキーワードとなりそうです。不安定な社会情勢の中、消費者は安心感を求め、幼い頃の記憶を呼び覚ますような懐かしい味わいに回帰する傾向が見られます。一方で、閉塞感を打破するために、新しい刺激や異文化体験への欲求も高まっており、冒険的な食体験への期待も膨らんでいます。

「ブランド」の安心感と「うまみ」の進化

長年愛されてきた定番商品は、その変わらない味と品質で消費者に安心感を与えます。特に、景況感の悪化が見込まれる中、信頼できるブランドへの回帰は顕著になると予想されます。メーカー各社は、このニーズに応えるべく、既存商品のブラッシュアップに力を入れています。単なる復刻版ではなく、現代人の嗜好に合わせた進化版が登場することで、懐かしい記憶と新しい発見を同時に提供しています。

そして、この「ブランド」の安心感と共鳴するように、「うまみ」への注目がさらに高まっています。近年、うまみ成分は、単なる「おいしい」を超えて、健康効果や満足感向上への寄与が注目されています。メーカーは、この「うまみ」を戦略的に活用し、商品開発に力を入れています。特に、「うま濃い＋余韻」というキーワードが注目されており、濃厚なうまみだけでなく、後味まで楽しめるような、奥行きのある味わいが求められています。

具体的なカテゴリーでのトレンド

このトレンドは、様々な食品カテゴリーで顕著に現れています。

• 緑茶飲料：定番の味わいをベースに、機能性や香り、うまみを強化した商品が登場しています。例えば、特定保健用食品（トクホ）の緑茶飲料や、リラックス効果を謳うハーブティーとのブレンドなど、健康志向の高まりに対応した商品開発が活発です。また、抹茶やほうじ茶など、日本茶本来のうまみや香りを活かした高級志向の商品も人気を集めています。

• 即席麺（カップ）：定番の醤油味、味噌味、塩味に加え、スパイスを効かせたエスニック風味や、地域限定のラーメンを再現した商品など、多様なニーズに対応した商品が展開されています。「うま濃い＋余韻」を追求し、スープの濃度や麺の食感にこだわった商品も増加しています。

• 鍋つゆ：定番の寄せ鍋やキムチ鍋に加え、世界各国の鍋料理を家庭で手軽に楽しめる鍋つゆが登場しています。また、だしにこだわった高級志向の商品や、特定の食材との相性を追求した専門性の高い商品も注目を集めています。健康志向の高まりを受け、低カロリー、減塩タイプの鍋つゆも人気です。

未来への展望

2024年は、食の楽しみ方がさらに多様化すると予想されます。VR技術を活用した食体験や、パーソナライズされた栄養管理に基づいた食事など、テクノロジーと食の融合も加速していくでしょう。しかし、どんなに技術が進歩しても、変わらないのは「おいしい」という感動です。「懐かしさ」と「冒険」、そして「うまみ」の深化というキーワードを軸に、食の未来はますます豊かになっていくことでしょう。

消費者のニーズを的確に捉え、新しい価値を提供する商品開発が、2024年の食業界を牽引していくと考えられます。