外国人技能実習生 どこの国が多い？

外国人技能実習生、なぜベトナムが突出して多いのか？背景と課題を探る

日本の外国人技能実習制度において、ベトナムからの実習生が突出して多いことは周知の事実です。確かに、上記のように、ベトナムが全体の約半数を占め、中国と合わせると全体の65%にも達します。しかし、なぜベトナムからの実習生がこれほど多いのでしょうか？単に「人件費が安いから」という表面的な理由だけでは、この現象を十分に理解することはできません。

ベトナムから日本への技能実習生派遣が拡大した背景には、いくつかの複合的な要因が考えられます。

• 経済的な要因: ベトナムは、近年経済成長を遂げているとはいえ、依然として国内の所得水準は日本と比較して低い水準にあります。そのため、日本での技能実習は、ベトナム人にとってより高い収入を得るための魅力的な手段となり得ます。家族を支え、将来のために貯蓄したいという強い動機が、日本での厳しい労働環境にも耐えうる原動力となっていると考えられます。
• 人口動態と労働力: ベトナムは人口が多く、労働力も豊富です。特に、若年層の労働力は日本に比べて多い傾向にあり、技能実習制度を通じて日本の労働力不足を補完する役割を担っています。
• 政府間の協力関係: 日本とベトナムの間には、技能実習制度に関する政府間の協力関係が存在します。これにより、制度の円滑な運用や、実習生の安全確保、労働環境の改善などが推進されています。
• 送り出し機関の存在: ベトナムには、日本への技能実習生を送り出すための送り出し機関が多数存在します。これらの機関は、日本語教育や日本の文化・習慣に関する研修などを提供することで、実習生の日本での生活をサポートしています。
• 制度の認知度: ベトナム国内において、日本の技能実習制度の認知度が高いことも、ベトナムからの実習生が多い要因の一つです。過去に技能実習を経験した人が周囲にいることで、制度に対する信頼感や安心感が生まれていると考えられます。

しかし、ベトナムからの技能実習生が多い現状には、課題も多く存在します。

• 高額な手数料問題: 送り出し機関が高額な手数料を徴収することがあり、実習生の負担となっています。
• 劣悪な労働環境: 一部の企業では、長時間労働や低賃金、パワハラなど、劣悪な労働環境が問題となっています。
• 日本語能力不足: 日本語能力が不足している場合、コミュニケーション不足によるトラブルや、安全上の問題が発生する可能性があります。
• 失踪問題: 賃金未払いや労働環境への不満などが原因で、失踪する実習生も後を絶ちません。

これらの課題を解決するためには、日本政府、ベトナム政府、送り出し機関、受け入れ企業が協力し、制度の透明性を高め、実習生の権利を保護するための取り組みを強化する必要があります。単に労働力として外国人技能実習生を受け入れるのではなく、彼らがスキルを習得し、母国の発展に貢献できるような、より良い制度へと改善していくことが求められています。ベトナムからの技能実習生が、安心して日本で働き、スキルを習得し、将来の夢を実現できるような環境を整備していくことが、日本社会全体の責任と言えるでしょう。