全保連とはどんな会社？

全保連（ぜんほれん）とは、正式名称を株式会社全国保証協会という、日本で最大手の不動産賃貸保証会社です。多くの不動産会社や賃貸管理会社と提携しており、賃貸物件を借りる際に、家賃保証会社として利用される機会が非常に多いことから、一般の方にも広く知られています。しかし、「家賃を保証してくれる会社」という程度の認識しか持たれていない方も多いのではないでしょうか。本稿では、全保連の業務内容、仕組み、メリット・デメリットについて、より深く掘り下げて解説します。

全保連の主な業務は、家賃債務保証です。簡単に言うと、借り主が家賃を滞納した場合に、家主（貸主）に代わって家賃を支払うというサービスを提供しています。これにより、家主は家賃収入の安定性を確保でき、空室リスクを軽減できるというメリットがあります。一方、借り主は連帯保証人を立てずに賃貸契約を結べるケースが多く、保証人探しに奔走する必要がなくなるという利点があります。

しかし、全保連のサービスは単なる「家賃の立て替え」だけではありません。彼らの業務には、多角的なリスク管理と債権回収が含まれます。家賃滞納が発生した場合、全保連はまず借り主に対し、督促を行います。電話や書面による連絡はもちろん、場合によっては弁護士を介した法的措置を取ることもあります。さらに、借り主の状況に応じて、返済計画の立案や、生活支援に関する相談窓口の案内なども行っているケースがあります。単なる金銭のやり取りではなく、問題解決に向けた包括的なサポートを提供している点が、全保連の特徴と言えるでしょう。

全保連を利用するメリットとしては、前述の通り、連帯保証人が不要となるケースが多い点が挙げられます。現代社会において、保証人を探すのは容易ではありません。親族に頼む場合でも、高齢化や経済状況などを考慮すると、必ずしもスムーズに依頼できるとは限りません。全保連を利用することで、こうした負担を軽減できるのは大きなメリットです。また、家主にとっても、家賃滞納のリスクを軽減できるため、安心して賃貸経営を行うことができます。

一方で、デメリットも存在します。最も大きなデメリットは、保証委託料の発生です。これは、全保連が家賃保証サービスを提供する対価として、借り主が支払う費用です。家賃の金額や契約期間、保証内容によって金額は異なりますが、一般的に数万円から数十万円の範囲となります。また、家賃滞納が発生した場合、保証委託料以外にも、延滞金や弁護士費用などが追加で発生する可能性もあります。更に、信用情報への影響も考慮すべきです。滞納が長期化すると、信用情報機関に記録され、今後のローン審査などに影響を与える可能性があるため、注意が必要です。

全保連は、単なる家賃保証会社という枠を超え、不動産賃貸市場における安定化に貢献していると言えるでしょう。しかし、利用する際には、保証委託料やリスクについても十分に理解し、慎重に検討することが重要です。契約内容をよく確認し、不明な点は担当者に質問するなど、安心して利用できるよう努めましょう。 契約前に、複数の保証会社を比較検討することも、賢明な選択と言えるでしょう。